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Simon & Garfunkel「Bridge over Troubled Water」(1970)

あまりにも有名な「明日に架ける橋」。このシングルと同名タイトルのアルバム、両方とも1970年の年間ビルボードNo.1という前人未到の記録を達成しております。それくらいビッグヒットした歴史的名盤なわけでございます。

但しこのアルバム、当時アートが俳優業に忙しかったことから彼が全ての曲に関わっている訳ではなく、昔からのS&Gファンにとっては、S&Gとしてのアルバムではないとするご意見もあるようです。

もちろんこのアルバム、トップの①「Bridge Over Troubled Water」がものすごいドラマティックな名曲なので、この印象が強いのですが、これだけではありません。様々な楽曲が詰まっています。
またドラムがハル・ブレイン、ベースがジョー・オズボーン、ピアノがラリー・ネクテルと、私の大好きなダンヒル系リズムセクションがS&Gを支えています。ただアルバム全体を通じて言えるのは、彼ら兵どもがバックを支えているにも関わらず、彼らのアクが全然出ていないんですよね。普通ジョーのベースなんか、唸りまくるのですが、全然それが出ていない。ハルも同様。せいぜい「明日に架ける橋」と「ボクサー」の馬鹿でかいスネア音(効果音)くらいでしょうか??
S&Gが彼らを見事に使いこなしているといえるでしょう。
まずは2008年の「Bridge Over Trouble Water」のライブバージョンをどうぞ。ライブでも感動的です。

②「El Condor Pasa」(邦題「コンドルは飛んでゆく」)はS&G的要素があまり見受けられないと思うのですが、あまりにもメジャーな楽曲ですよね。私もこの楽曲はS&Gを知る以前に、認識していたように思います。

複雑に絡むパーカッションが印象的な③「Cecilia」は、昔から大好きな1曲でした。S&G流ポップスといったところでしょうか? 凝ったアレンジなんか、流石です。

白眉は⑤「So Long,Frank Rryde Right」でしょうか。ボサノバタッチの渋い1曲。まあ、ポップス指数は極めて低いですが、夜にひっそりと聴いてみたい1曲です。間奏のフルート(?)、エンディングのアートのビューティフルヴォイス・・・。実に味わい深い。
この曲、ポールがアートに捧げた曲なのですが、フランク・ロイド・ライトって誰???って感じですよね。実は非常に著名な建築家で、アートはコロンビア大学で建築学を学んでいたんですね。つまり建築家を志向していたアートと重ねているんですね。そう考えると歌詞も印象深いです。

そして⑥「The Boxer」。名曲です。
アコースティック・ギターを始めた頃、この曲のイントロ、それからスリーフィンガーピッキング、よく練習しました。
それにしてもこの曲のアレンジも絶妙です。随所に効果的にパーカッションが絡んでくるし、エンディングに向かって段々と盛り上がってくるストリングス。もう堪りませんね。ハル・ブレインもここぞとばかりにスネアと叩いてます。
エンディングの余韻に浸るようなポールのピッキング・・・。素晴らしい名演です。ホントいい曲ですね。

⑧「The Only Living Boy in New York」も隠れた名曲。
粒の濃いベースはいかにもジョーのプレイらしい。これもポールがアートのことを歌った唄。随所に出てくるアートのリリカルなコーラスが心を打ちます。これぞ名曲。

このアルバム、超メジャー級の楽曲が多く収録されているので、その他の楽曲が地味に感じられますが、実はその地味な楽曲群も見事な出来栄えなんですね。

この後、S&Gは何回か再結成コンサートを行いますが、本格的な再結成アルバムを出すことはありませんでした。

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