Jo Mama「Jo Mama」(1970)
今日はシブい1枚をご紹介しておきます。ダニー・コーチマー率いるジョー・ママのデビューアルバム。
ダニーといえばジェームス・テイラーのバックバンド、ザ・セクションのギタリストとして有名ですし、またキャロル・キングとバンドを組んでいたことも有名ですね。
そのダニー、キャロル・キングとはザ・シティを結成して、1969年に素晴らしいアルバム「Now That Everything's Been Said」を発表しています。
このアルバムは今までのキャロル・キングの集大成といった感じで、メンバーだったダニーやチャールズ・ラーキーは引き立て役といった感じでした。
その後、キャロルがフライト恐怖症に陥り、バンドはあえなく解散。キャロルはソロ活動、ダニーとチャールズはジョー・ママを結成するに至ります。
ザ・シティの楽曲はほとんどすべてがキャロルの作品であった訳で、ダニーとしてはひょっとしたら却って良かったのかもしれません。
ジョー・ママはダニーのバンド。そして楽曲もダニーの作品が中心で、これがまた結構イイんですね。
メンバーはダニーにチャールズ・ラーキー(B)、ラルフ・シュケット(Key)、ジョエル・ビショップ・オブライエン(Ds)、アビゲイル・ヘイネス(Vo)。本作プロデュースはピーター・アッシャーです。
まずは最初に本作中、一番激しいアップテンポな曲をどうぞ。それがエンディングの⑫「Love’ll Get You High」、彼等のグルーヴを感じて頂けるものと思います。
チャールズの躍動するベースが聞き取れます。間奏のエレピはメンバーのラルフ・シュケット。そのエレピに続いて、ダニーのギターソロが聴けます。
豪快なホーンはブラスロック、サイケ的な音楽を連想させますね。カッコいい!
①「Machine Gun Kelly」はジェームス・テイラーがアルバム「Mud Slide Slim」でカバーした楽曲。マシンガンのように聞こえるダニーのギターソロが印象的なこれまたスワンプナンバー。
本作は発表が1970年という時代背景により、スワンプ系の曲が先行しますが、実は結構多彩な音楽が収録されてます。
例えば⑤「Venga Venga」。これなんかは完全にラテン系。歌詞カードにはインストナンバーとありますが、アビゲイルが何語か分かりませんが、歌ってます。
またそれに続く⑥「Sailing」、イントロはチック・コリアの「リターン・トゥ・フォーエヴァー」を思わせるフュージョンライクなサウンドですが、ダニーのカッティングギターが始まると、これがまたイイ。後のAORにも通じるような洗練されたハーモニー。そうそう、この音はピーター・ゴールウェイ率いるフィフス・アベニュー・バンドと似ていますね。
そしてこれもお勧めな⑪「Cotton Eyed Joe」。アメリカやカナダに伝わる民謡をバンドがアレンジしたもので、ここでのドラムのジョエル・ビショップ・オブライエンが叩くヴァイヴが美しい。
原曲は軽快なカントリーソングのようですが、ここではグッと大人っぽく、ミディアムスローテンポでアレンジしてます。
非常に器用に貪欲に何でもこなすジョー・ママ。今でこそ評価が高いのですが、当時は商業的には全くヒットせずに終わってます。
こんな素晴らしいアルバムを聴きながら、のんびりと休日を過ごしたいものです。