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The Hollies「Evolution」(1967)

先週、スティーヴ・ハウ主導の新生イエスとしては2作目となる新作が発表されましたね。こちらが結構私の好みでしたので、いずれ機会があれば記事にしたいと思ってます。

新作といえばイエスとはまた別の意味で驚きだったのがグラハム・ナッシュアラン・クラークの各々の新作。この2人、もちろんホリーズの創設者であり、小学校の同級生だったという間柄。同時期に発表された各々のソロには共演した楽曲「Buddy’s Back」がそれぞれ収録されております。未だに交流があったことを知り、なんだかほっこりしてしまいました。

ということで今回はホリーズの名作を採り上げたいと思います。ホリーズは1962年にグラハムとアランを中心にマンチェスターで結成。グラハム・ナッシュってCSN&Yのイメージが強く、すっかりウエストコースト系人脈に組み入れられている方ですが、実は元々は英国の方なんですよね。

本作は1967年発表のホリーズ6枚目のアルバム。全曲、メンバーのアラン・クラーク、トニー・ヒックス、グラハム・ナッシュの共作。
ジャケットからもお分かりの通り、ホリーズまでがサイケに走った作品としても有名ですね。グラハム・ナッシュがサイケを推し進めたとも云われてますが、この作品、実はそれほどサイケサイケしていない印象です。むしろ1967年という時代背景にも関わらず、相変わらず初期ビートルズのようなカッコいいマージービートを奏でていることが、ちょっと微笑ましいです。

そのカッコいいマージービートの典型例がエンディングナンバーの⑫「The Games We Play」。
後のエルビス・コステロを彷彿させる弾けるようなビートポップス。サイケが流行っていた1967年にこうしたビートを奏でていたとはちょっと驚き。でも間奏のホーンはこの当時流行っていたソフトロック的なアレンジですね。

それではせっかくなのでサイケナンバーをご紹介しておきます。まずはオープニングの①「Then the Heartaches Begin」。
随所に場違いなファズ・ギターが如何にもサイケやってます感を無理やり出している感じです。バックコーラスもちょっとサイケ感を感じさせますが、基本はアコギを掻き鳴らしているロック。特にイントロのカッティングギターはモンキーズのライターチームで著名なボイス&ハートの「I Wonder What She's Doing Tonight」風。

もうちょっとドロドロしたサイケを聴きたいですかね(笑)。
イントロだけが妙にサイケ感を強調した③「Water on the Brain」。パーカッションの連打と不思議なコーラスは病み付きになりそう。
ただ間奏のホーンとか、ちょっとポップなセンスが混じっているところはホリーズらしいですね。

キャッチーなナンバーの⑤「Have You Ever Loved Somebody?」はまるで60年代前半のマージービート!
アップした映像、演奏スタイルも下で踊っている方々もかなり時代遅れな印象。1967年というと既にビートルズは「Strawberry Fields Forever」を発表していましたからね。それに比べたらホリーズの進化は止まっていたのかも。

ワルツのリズムが効果的な⑧「Heading for a Fall」。
これも当時流行った楽器、シタールを用いてサイケな感じを醸し出してますが、コーラスなんかはキャッチーで、今一つサイケ・ミュージックになり切れない。これもホリーズらしい1曲ですね。

何だかんだ言っても⑩「When Your Light's Turned On」のようなホリーズの楽曲は大好きなんですよね~。
でもやっぱり少し物足りない気がします。アランやレコード会社はこうした親しみやすいポップスを推し進めようとする一方、グラハム・ナッシュはより音楽を進化させていきたい欲求が強くなっていきます。

グラハムは1968年の米国ツアーを最後に脱退。米国で知り合ったキャス・エリオット(もちろんママス&パパスの)の紹介でデヴィッド・クロスビーと合流。更にスティーヴン・スティルスを加えたCS&Nとしてスタートします。確かにここでのホリーズの音楽と、ローレル・キャニオン界隈で奏でられていた音楽とはかなり違いますね。
ただCSN&Yのメンバー中、一番ポップなセンスを持っていたグラハムのバックグラウンドがホリーズにあるというのは納得ですね。

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