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Gilbert O'Sullivan「Songbook」(2024)
ギルバート・オサリバンは嫌いですか?
もうこんな時代遅れな楽曲、アルバムは嫌いですか?
私はたま~に、こうした心に沁みるような楽曲を聴きたくなります。そして78歳になった今、彼は今もこうして現役で素敵な音楽を届けてくれております。
近年の彼のライヴは、自身のピアノと長年の盟友ビル・シャンリーのギターというアンプラグド的な演奏が中心ですが、このアルバムで繰り広げられるのは、まさにそういった世界観。レコード会社のスタッフからの勧めもあり、昨年暮れにラファイエットというコンサート会場で無観客のライヴ・レコーディングを行ったものが本作です。
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新曲「A Kiss is A Kiss」を含みますが、基本は70年代の代表曲を中心に選曲されてます(この「A Kiss is A Kiss」も胸に染みる楽曲です)。
1972年10月に発表された②「Clair」。
アップした動画はこのアルバムのために収録されたもので、アルバム音源と同じものとなっております(以降アップする動画も同様です)。
たった二人での演奏ですが、良くないですか?曲そのものが素晴らしいこともあり、これだけシンプルな演奏にも関わらず、胸に響いてきますね。特に間奏のビル・シャンリーのギターソロ、いいですね~。
永遠の名曲の⑥「Alone Again (Naturally)」。
こちらもたった二人の演奏なのに、もうあのアローンアゲインの世界…。
ご存じのようにこの曲、歌詞がかなりヘビーな内容なんです。婚約者に結婚式をすっぽかされた男は自殺を企てようとする。そして過去にもこんな風にひとりぼっちになった経験が…。それは父親が亡くなり、母親まで亡くなってしまう…、Alone Againというわけです。
メロディだけ聴くと、こんな内容の詞だとは全く気付かないですよね。その詞の世界観を踏まえて、改めてこの曲を聴くと、また違った捉え方が出来るかもしれません。
私の思い出深いナンバーの⑦「What's in a Kiss」。
中学時代、部活動の後、疲れ切った体を癒すようにこの曲を聴いてました。1980年のヒットナンバー。オリジナルは乾いたトーンのギターソロが心地よく、全体的にも爽やかな感じが癒しの音楽のように聞こえました。
ここでのバージョンもそんな雰囲気をよく伝えてくれてます。相方ビルのコーラス、そしてギターソロもいいですね。「Alone Again」とは対極的に位置するような歌詞、いいですよね…。
♪ What's in a kiss?
Have you ever wondered just what it is?
More perhaps than just one moment of bliss
Tell me what's in a kiss ♪
こちらも胸に染みる⑨「Why, Oh Why, Oh Why」。
1973年のヒットナンバーです。これもビルがいい仕事してますね。曲の良さがじっくり味わえるようなアレンジ。こうした2人だけの演奏、ライヴも曲が良ければじっくり楽しめますね。
唯一の新曲の⑫「A Kiss Is A Kiss」。
これもまた非常に味わい深い楽曲です。この年代のミュージシャンは新曲の創作意欲が無くなってくるのが常ですが、ギルバート・オサリバンはまだまだ創作意欲は枯渇しておりません。
如何だったでしょうか。私も11月からずっと慌ただしく、ここ数日でようやく落ち着きを取り戻してきました。そんな中で聴くギルバート・オサリバン。本当に心に沁みますね。年末、師走の時期、こうした音楽もいいものです。