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Maria Muldaur 「Maria Muldaur」 (1973)

寒い朝…、こんな時にこんな音楽は如何でしょうか。
今回はマリア・マルダーのファーストアルバム。名盤紹介本には結構掲載されているアルバムだし、彼女のデビューアルバムにして、一番有名なアルバムかもしれません。

それにしても非常に不思議な、そして味のあるアルバムです。
本作にも収録されている②「Midnight At The Oasis」があまりにも有名で、この曲はAORのコンビアルバムに収録されていたりする非常にリラックスムードたっぷりのナンバー。ですからこの曲の印象で本作を聞き始めると痛い目にあいます(笑)。

プロデューサーはレニー・ワロンカーとジョー・ボイド。
マリア・マルダーは本作発表前、ご主人のジェフとジェフ&マリア名義でアルバムを2枚発表してますが、その2枚のプロデューサーがジョー・ボイド。ジョーはブリティッシュ・フォーク人脈を持つ御大。そういった訳で1曲目の「Any Old Time」から「Midnight At The Oasis」のイメージを壊してくれます。

①「Any Old Time」はイントロからフォークの香りが…。
曲はジミー・ロジャースの古い古いカントリーナンバー。マリアはより濃いジャグ・バンド・スタイルに仕上げてます。もともとマリアはジャグやオールドタイム・ミュージックをやっていたので、実はこっちが彼女の姿なんですよね。印象深いアコギはライ・クーダー。ハワイアン・ギターはデヴィッド・リンドレー。豪華メンバーですね~。

②「Midnight At The Oasis」は何といってもエイモス・ギャレットの宙を彷徨うようなギターが素晴らしい。ギターソロも心地いいですよね。心地よさを倍増させているストリングスのアレンジはニック・デ・カロ。曲も素晴らしいんですが、これはデヴィッド・ニックターンが彼女に書き下ろしたオリジナルでしょうね。デヴィッドは本作では他の曲も提供したり、ギタープレイヤーとして参加。でも彼、今では仏教指導者、瞑想家としても著名な存在になってます。

ドリー・パートンで有名な③「My Tennessee Mountain Home」。
ドリーが発表した同時期にマリアは本作をカバーしたことになります。アコギはデヴィッドとクラレンス・ホワイト!! ①はライ・クーダー、②がエイモス・ギャレット、そして今度はクラレンス。そう考えると本作、豪華なアルバムなんですよね。

カントリー&ジャージーな⑦「Walkin' One & Only」。
小粋なジャズって感じで、コレ、カッコいいですよ。ダン・ヒックス&ヒズ・ホット・リックスの1972年のヒットナンバー。

YouTubeを徘徊していたら、なんとマリアとダンの共演ライヴがありました。しかもコレ、日本公演のようですね。ギターがストレイ・キャッツのブライアン・セッツァーっぽい。

⑩「Vaudeville Man」はウェンディ・ウォルドマンの作品。
1969年、ウェンディ、アンドリュー・ゴールド、ケニー・エドワーズ、カーラ・ボノフの4人はブリンドルを結成しますが、1971年に解散。後に4人は各々有名になっていきますよね。本作はウェンディにとっては初期の他人への提供曲。イントロのアコギは盟友アンドリュー・ゴールド。

「Midnight At The Oasis」しか知らない人にとっては本作、一瞬戸惑ってしまうアルバムではないでしょうか。でもいろいろなプレイヤーが参加しているアメリカン・ルーツ・ミュージック満載の、素敵なアルバムなんですよね。

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