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Buffalo Springfield「Last Time Around」(1968)

カントリーロックをあれこれ聞いていたら、リッチー・フューレイってやっぱりいいなあと改めて感じ、ついついバッファロー・スプリングフィールドのラストアルバムを聴いております。

恐らくバッファロー・スプリングフィールドといえば、やっぱり誉れ高き名盤の「Buffalo Springfield Again」があまりにも有名。そして次に語られるのがデビューアルバム「Buffalo Springfield」。そして最後のアルバムである本作については殆ど語られることはありませんよね。

このアルバムのレコーディング中、バンドの解散は明白となり、実際に1968年5月にバンドは解散してしまいます。その後リッチーとジム・メッシーナがそれらレコーディングテープを編集して、本作を発表するに到ります。つまり本作発表時にはバンドは解散していた…ということで、そういった中途半端な形で発表したことを受けて、この作品は地味なものになってしまったような気がします。

実際私も本作は聴く価値のないものという先入観から、この本作だけはスルーしておりました。
ところが実際聴いてみて、もちろんアルバムとしてのまとまりは当然ないにしても、各々の楽曲は意外と素晴らしいのではないかと思っております。特にソフトロック的な見地で本作を捉えると、ファースト、セカンドより聴きやすいのではないでしょうかね。

1曲目の①「On The Way Home」は二ール・ヤングの楽曲ですが、リード・ヴォーカルはリッチー。コーラスも優しく聴こえるキャッチーなソフトロックナンバーです。
そして何と2010年10月のバッファロー再結成(といっても二ール・ヤング、スティーヴン・スティルス、リッチーだけですが)におけるステージでの、この曲を演奏した動画がアップされてました。
このコンサートは「毎年恒例となっているヤング夫妻主催のブリッジ・スクール・ベネフィット・コンサートにおいて、ヤング、スティルス、フューレイの3人がバッファロー・スプリングフィールドを再結成して演奏した。3人が同じステージに立つのは実に42年振りのことであった。(以上wikiより)」といったものですが、リッチー等の表情が何とも明るくていい。二ールとスティーブンは喧嘩しては仲直りを繰り返し、ある意味ではホントのライバル関係なのかもしれません。いい映像です。

スティーヴン作の③「Pretty Girl Why」。恐らくワルツ調の佳曲④「Four Days Gone」は評価しても、誰もこんな地味な曲は評価されないと思われますが、ソフトロックファンの私にとっては、実に味のある楽曲と思ってしまいます。メロディは単調ですけど、バックのパーカッションみたいな音がウォールオブサウンド的に効果的なんですね。シブい1曲です。
モンキーズにもこんなアレンジの曲がありました(スティーヴンはモンキーズのオーディションに落ちてしまいましたが・・・)。

恐らくこのアルバムの評価を著しく下げている要因のひとつにジム・メッシーナの⑤「Carefree Country Day」のような「曲が足りないから持って来ました」的な楽曲が収録されていることが挙げられますが、それでも私はこの曲、嫌いではありません。
ラヴィン・スプーンフルのジョン・セバスチャンがお好きな方であれば、この曲、この気だるいフォーキーさが堪らないのではないでしょうか。確かにエッジの効いたスリリングなバッファロー・スプリングフィールドの曲ではありませんが(笑)。う~ん、この曲、申し訳ないのですがかなり好みです。

のちの二ール・ヤングのフォーク路線を感じさせる⑨「I Am a Child」。
こんなカントリー的名曲も収録されてます。いつもは力強い感じのニールも、ここでは神経質そうでない、気楽なニール…(笑)。これもいいですね~。

私の大好きなリッチーの⑩「Merry Go Round」。
ソフトロックファンは必聴のポップチューンですね。

スティーヴンはCSN&Yを経て、自身のバンド、マナサスを結成しますが、そのマナサスを彷彿させる楽曲が⑪「Uno Mundo」。
ラテン・フィーリングたっぷりに演奏されます。単純なメロディの繰り返しなのに、一気に演奏で聞かせてしまいます。

そしてエンディングはリッチーの名曲、⑫「kind Woman」。
ここまで来ると完全にカントリーですね。心に染み入るバラードです。ラスティ・ヤングが参加しており、このことがリッチー、ジム、ラスティをポコ結成へ走らせることになります。

どうですか~。アルバムとしてはまとまりはないのですが、楽曲としては佳曲が詰まってますよね。
3人のバッファロー、その後、2011年6月に開催されたBonnaroo Music and Arts Festivalに出演。また3人の好演、聴いてみたいですね。


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