The Who「A Quick One」(1966)
ザ・フーのセカンドアルバム。ザ・フーというとハードロック的なイメージがあったのですが、初期の彼等は意外とポップな楽曲をやっていたりします。
このセカンドではメンバーが楽曲を持ちより、かなりバラエティに富んだ内容となっております。また後のロックオペラと呼ばれる組曲を収録していたりと、よく聴くと非常に内容の濃いアルバムなんですよね。
プロデュースはマネージャーでもあるキット・ランバート。
オープニングは「My Generation」的なノリを継承したピート・タウンゼント作①「Run Run Run」。ビート系バンドの香りがプンプンしますね。このギターの歪具合、ラウダーなドラム、ザ・フーらしい1曲。
後にベースのジョン・エントウィッスルのテーマソングにもなった②「Boris the Spider」。もちろんジョンの作品。非常に気味の悪い楽曲です。
不気味なリフをただ繰り返す他愛もない曲。でもザ・フーだからこそ、なぜか魅力的に聴こえてしまいます。この曲をうまくカバーすることなど無謀なことでしょう。
アップした映像、ピートが喋っているのに騒いでいる人間、キース・ムーンですね(笑)。
非常にポップな③「I Need You」は意外にも変人キース・ムーンの作品。
キースはビーチボーイズが好きだったんですよね。それを知らなければ、なぜキースがこんなポップソングを・・・、と疑問に思ってしまうかもしれません。それにしてもこの曲のドラムもうるさい(笑)。エンディングが洒落てます。
⑤「Heat Wave」のみカバーソング。オリジナルはマーサ&ザ・ヴァンデラスの「恋はヒートウェーヴ」。
やっぱりこうしたポップソングを1曲は収録しなければいけなかったのですかね。個人的には彼等がこれをやる必然性は全くなし、と思ってしまいます。でもそれは今振り返ってみればの話であり、当時は商業的な成功を収めるためにも必死だったのかもしれませんね。
非常に評価の高い1曲がピート作の⑨「So Sad About Us」。
これも初期ザ・フーの隠れた名曲かもしれません。ピートの裏打ちするカッティングギターがかっこいいですね。
アップした映像は演奏も荒く、ジョンとのコーラスも下手くそなんですが、やっぱりザ・フーらしい荒々しさがかっこいい。このコーラスは愛らしく、実はザ・フーの持ち味だったりするのですが、ちょっと意外感があっていいですね。
そしてエンディングは組曲⑩「A Quick One While He's Away」。しかもイントロはビーチボーイズばりのコーラスを披露します。
本作予定収録曲の録音を終了したところ、10分程度楽曲が足りなくなってしまったことから、寄せ集め的にストック曲を繋いだという、曰くつきの楽曲。でもなかなかよく出来てますね。
アップした映像は1967年6月の有名なモンタレーポップフェスティヴァルでのライヴ。このライヴで彼等は機材を見事に壊し、以降彼等の破壊活動は定番となってしまいました。またこのモンタレーではジミヘンと出演順番を争ったというエピソードも残されてます。
それにしてもここでもキース、暴れてますね。彼ってハイハットでリズムをキープしたことがあるのでしょうか。常にライドシンバルでノイジーにリズムを刻んでいるような・・・。
やっぱりいい作品ですよね。コレ以降、彼等は益々クオリティの高い作品を発表していきます。