Black Sabbath「Heaven and Hell」(1980)
ロニー・ジェイムス・ディオといえば、やはりレインボー時代、特にロニー、リッチー・ブラックモア、コージー・パウエルの3巨頭が揃った黄金期が印象深いです。
ただ私のロニーに対してのリアルタイムな経験は、彼がサバスを脱退した後に結成したディオでした。レインボー、ブラック・サバスと渡り歩き、ついに名実ともにリーダーとして君臨することが出来た自身のバンド。それがディオでした。
特に1983年に発表されたデビューアルバム「Holy Diver」はよく聴きましたね。当時アルバムとして聴いていた数少ない1枚で、ロニーの魂が籠もった1枚で、ロックの様式美とはこういうものだと思い込んでました。LPが実家に眠っているはずですが、現在CDでは所有しておらず、もう30年以上聴いてないですね。
今回はそのブラック・サバス時代の名盤「Heaven And Hell」をご紹介します。実はこの作品、後追いで購入し、じっくり聴いてみようと思っていた矢先、2010年5月、ロニーの訃報に接したんですよね。
ブラック・サバスといえばオジー時代の「Paranoid」とか「Iron Man」といったドロドロしたような音楽のイメージが強く、個人的には苦手な分野に属する音楽でした。
ですから①「Neon Knight」を初めて聴いたときは「これがサバス???」と驚いたものです。とにかくロニー節全開のストレートなハードロックで、まさに私のツボだったわけです。トニー・アイオミもこんなプレイが出来るのかと感心してしまいました。
当初、さすがのロニーもサバス加入に最初は自信が持てなかったようですが、最初のセッションで②「Children of the Sea」のフレームワークが出来ると自信を深め、加入を決意した由。
この「Children of the Sea」、ドラマティックな作りといい、で出しの
♪ in the misty morning ♪ の歌詞と楽曲のムードがぴったり合ったところといい、新生ブラック・サバスの幕開けに相応しい1曲です。
サバスらしさが感じられるアルバムタイトルトラックの④「Heaven and Hell」。それでもロニーが歌いだすとやっぱりロニーの世界観が色濃く感じられます。このロニーの歌いだしには鳥肌が立ってしまいます。ホント素晴らしいヴォーカリストですね。
とてもキャッチーな⑥「Wishing Well」。昔のサバスファンでしたら毛嫌いするでしょうね。当時はサバスがレインボーになってしまったと思ったファンもいらっしゃった由。私はレインボーファンなので、こうしたキャッチーなハードロックは大好物です(笑)。でも確かにブラック・サバスの演奏と云われると違和感を感じるのも事実です。
完成度の高い⑦「Die Young」は人気の高い1曲。
中世音楽を追求したロニーの本領発揮といった感じで、「これが新生ブラック・サバスだ、文句あるか!」と言わんばかりの自信に漲った1曲。
このアルバムが多くのファンに受け入れられた理由が分かります。
ブラック・サバスはこの後「悪魔の掟」を発表後、トニー・アイオミとギーザー・バトラー、そしてロニーとヴィニー・アピス(もちろんカーマイン・アピスの実弟ですね)で仲違いしてしまい、ロニーとヴィニーはディオを結成していきます。ロニーもやはり個性の強いヴォーカリストですからね。
あれだけ力強い歌を聞かせてくれた方が亡くなってしまったという事実は、当時なかなか受け入れ難いものがありました。
ディオもまたじっくり聴いてみよう…。