Huey Lewis & the News「Picture This」(1982)
黎明期のヒューイ・ルイス&ザ・ニュースのAOR的名盤
洋楽を聴き始めた頃、本作収録の「Do You Believe in Love」がラジオから流れてきたとき、一発で気に入ってしまいました。本作、当時は永らく日本未発売だったと思いますが、その後発表された「Sports」が大ヒットを記録し、彼等は一躍スターの仲間入りを果たします。
私も「Sports」はいやと言うほど聴きましたね~。でも個人的には、この地味な作品がよりAOR的な音を聴かせてくれて非常に心地よいので、一時期コレばかり聴いてました。ひょっとして本作の存在を知らない方も多いのではないでしょうか?
何と言っても彼等の出世作である⑥「Do You Believe in Love」が素晴らしい。イントロから如何にもウエストコーストサウンド然とした音作りで、コーラスやギターソロ等、どこを取っても素晴らしい1曲です。後のヒューイルイスの楽曲で、このテの曲が少ないのはちょっと残念です。
この曲は彼等のオリジナル作品ではなく、作者はなんとRobert John "Mutt" Lange。如何にも分厚いコーラスが得意なマットらしい曲です。AC/DCやデフ・レパード、ブライアン・アダムズのプロデュースで著名なマットですが、近年ではシャナイア・トゥエインの旦那として知られてますね。
アップした映像は当時流行ったMTV仕様で、少し懐かしくもあり、恥ずかしくもあるものですが、曲の良さは十分伝わってくると思います。ヒューイ、若い!一緒に歌ってみましょう!
このアルバムの聴きどころは1曲目からあります。少しハードな①「Change of Heart」。このギターソロを聴いているとTOTOを連想してしまいます。分厚いコーラスといい、ウエストコーストロックらしい1曲です。クリス・ヘイズのギターが光ります。ちなみにクリス、大のジャズファンらしいのですが、プレイにはあまりそうした影響は感じられません。
③「Giving It All up for Love」は元シン・リジィのフィル・ライノットの作品。ヒューイは1972年、クローバーというバンドに加入しますが、そのクローバーがシン・リジィの前座を務めたことがあり、それが縁でフィルとの交流が始まったようです。ちなみにクローバーはドゥービーへ加入したジョン・マクフィーが在籍していたことでも有名です。
④「Hope You Love Me Like You Say You Do」は邦題「サンフランシスコ・ラブ・ソング」として有名ですね。もちろんバックホーンはご存知タワー・オブ・パワー。彼等のホーンを生かすために録音されたような曲です。ブルージーなロッカバラードで、味わい深いですね。
タワー・オブ・パワーは昨日ご紹介したバンドで、70年代に大活躍したホーンを主体にしたファンクバンドですが、1982年当時は人気も下火になっていたと思います。人間味のあるヒューイらしい起用です。
本作では「Do You Believe in Love」以上にライブでは人気の高い曲が⑤「Workin for a Livin」。これぞヒューイサウンドの極み、熱いロックンロールです。
彼等のコーラスは非常に分厚く、メンバー全員がコーラスを担当しているようです。YouTubeを見ていたら、やはりやってましたね、「So Much In Love」のアカペラ!
1982年にプロモ来日した際に、あの「ベストヒットUSA」に出演し、生アカペラを披露しています。その時の映像が↓です。別のもので音質がいいものもあったのですが、スタジオで即興アカペラをしている映像のほうが彼等の素晴らしさが伝わると思い、こちらをアップしました。
改めて聴くとやはり本作、いいですね~。邦題「ベイエリアの風」の通り、爽やかな風を運んでくるアルバムです。以降の彼等のアルバムにはあまり感じられないAOR的な要素も感じるのは、そのコーラスのせいでしょうか??
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