Paul McCartney & Wings「One Hand Clapping」(2024)
私の好きな数量政策学者の高橋洋一さんが、自身の映画チャンネルでポール・マッカートニー&ザ・ウィングスの映画「ワン・ハンド・クラッピング」をご紹介しておりました。あの高橋洋一さんまで絶賛しているのか…とちょっとビックリ。
この映画の存在はなんとなく知っていはいたのですが、日常バタバタしておりまして、全く音源すら聴く機会がなかったので、早速チェック致しましたが、やっぱりいいですね~。特にこの時期、ポールの黄金期でもあり、この後、ライヴの名盤「Wings Over America」を発表致しますね。
ここでの映像は1974年8月、アビーロードスタジオで収録されたもの。ウィングスの不動のメンバーであるリンダとデニー・レインに加えて、新たにジミー・マッカロク(G)、ジェフ・ブリトン(Ds)が参加。音源を聴いて感じたのは、ポールってやっぱり生粋のロックンローラーであること、意外にもジェフのドラムがウィングスに合っていること。私の中ではウィングスのドラマーはジョー・イングリッシュ一択だったので、恥ずかしながらジェフの存在はあまり認識していませんでした。
ジェフは空手道場も経営していた方で、映画の中でも空手の型を披露してますね(笑)。実はジェフの道場には、なんとあのカール・パーマーが在籍しており、ウィングスのオーディションにもカールの推薦があったようです。
ウィングスは名作「Band On The Run」を1973年12月に発表したのですが、実はこのアルバム、最初はチャートアクションはそれほど良いものではなかったのです。そこで梃入れのために急遽「Jet」を翌年1月末にシングルカットし、それが功を奏し、結果的には1974年4月にようやくビルボードチャート1位を獲得したのでした。
この「One Hand Clapping」セッションは「Band On The Run」の大ヒットの余韻冷めやらぬ中、8月に行われたものなんですね。
ということで②「Jet」が2曲目にセットされております。
ソリッドなロックナンバーですが、実は「Jet」というのは、当時ポール&リンダが飼っていた犬の名前とのこと。
私は後追いですが、初めてこの「Jet」を聴いて感動し、直ぐにシングルレコードを購入致しました。ポールのロック魂を感じさせる名曲です。リンダとデニーのコーラスもいいんですよね。ここでの軽快なジェフのドラムもいいし、リンダの感想のムーグも効いてます。
当時のライヴで披露されていた③「Soily」。
1971年に書かれた楽曲ですが、なぜかオリジナルアルバムには未収録で、ようやくライブアルバム「Wings over America」に収録されたもの。
こちらは「Jet」以上にハードなナンバーです。この「One Hand Clapping Sessions」でも最初のハイライトシーンかもしれません。
ポールの初期の名曲⑤「Maybe I'm Amazed」。邦題「恋することのもどかしさ」。
ポールのファーストソロアルバムに収録されていた楽曲で、当時はシングルカットされなかったのですが、後に「Wings Over America」からシングルカットされました。リンダへの愛を歌ったもので、One Hand Clappingでも二人並んで演奏してますね。
One Hand Clappingのセッションではメロトロンが聞こえてきますが、これってリンダが演奏しているんですかね。このセッションの演奏は、バンドとしての纏まりも感じられます。いい演奏ですね。途中で犬が映りますが、こちらがJetでしょうか…。
ポールの一世一代のバラードの⑥「My Love」。
こちらのセッションではしっかりポールとリンダが並んで演奏しております。
ジミーのギターソロも渋くていいですね。ジミーはこの時、まだ21歳。確かに映像で見る限り、子供ですね(笑)。ジミーは3年半、ウィングスに在籍していましたが、1977年9月にウィングス脱退後に、再結成されたスモール・フェイセズに加入。その後、1979年9月にオーバードーズにより亡くなります。若き才能ある方が早々に亡くなることは残念ですね。
リンダのムーグが冴える⑪「Band on the Run」。
この曲、皆さん大好きですよね。この収録模様の映像もYouTubeにはありましたが、映像が悪く、音もあまりよくないので、こちらは映画より先行発売された音源をお聴きください。かなりいい音ですよね。
やっぱり次のパートへ移るところ、2分15秒過ぎのデニー・レインのアコギを掻き鳴らすところがカッコいい。アコギを購入した当時、よくこの曲をアコギでコピーしました。
「Band on the Run」からの流れを汲む⑫「Live and Let Die」。ウィングス、いやポールの代表的な楽曲であり、今もライヴでのこの曲での火柱の演出は圧巻ですよね。緩急付けたダイナミックな、ポールらしい楽曲。こちらも私の大好きな1曲です。
こちらのOne Hand Clappingの映像が面白いですよね。このスタジオライブはわざわざオーケストラを導入して、完璧なサウンドに仕上げてます。スリリングな演奏ですが、一部オーケストラ要員が巻きたばこを吸っていたり、新聞を読んでいたり、お菓子を食べている人まで(笑)。恐らく休憩中のシーンを意図的に挟み込んだものと思われます。あとドラムのジェフが空手着を着てますね…。彼のドラムはやっぱりこのウィングスに合っていたと思います。デニーがベースを弾いていること、なぜかジミーが殆ど映っていないことが気になりました。
ウィングスの曲の中でも最もロックを感じる⑦「Junior's Farm」。
ジミーがウィングスに加入して最初に発表したシングルが「Junior’s Farm」でした。演奏も実にタイトで、バンドとしての纏まりもすごく感じさせますね。ポールも随所に掛け声を入れていて、気合が入ってますよね。ちょっと投げやりなコーラスもロックっぽくっていい。
バンドは11月からこのメンバーで「Venus And Mars」の収録に入り、翌年5月に発表に至りますが、残念ながらドラムのジェフはレコ―ディング終了間際に脱退。このセッションを聴く限り、非常にフィットしていたように思うのですが…。一説には空手を愛したジェフは、日常生活もキッチリした人物だったようで、ジミーやデニーの自由奔放な生活に相性が合わなかったとも言われてます。
このセッションが陽の目を見なかったら、私もジェフのことなど、殆ど認識もせずにスルーしていたかもしれません。
ちなみにジェフは現在はスペインに在住。この映画「One Hand Clapping」のプレミア上映に地元で参加。それが記事にもなってました。