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Carly Simon「Boys in the Trees」(1978)

今回はJTの元奥さん、カーリー・サイモン。このアルバム、艶やかなジャケットはよく知っていても、中身はそれほど知っていた訳ではなく、せいぜい名曲「You Belong To Me」が収録されていることくらいしか知りませんでした。

当時一世を風靡していたフュージョン・バンドのスタッフが全面的に参加しているってことが多く語られるアルバムですが、印象としては雑多な印象…。多彩な楽曲が収録されているが故に、アルバムとしては散漫な印象といったところでしょうか。

もちろんアルバムの中身が悪いという意味ではありません。むしろ秀逸な楽曲が多く収録されているアルバムですね。プロデューサーはなんとアリフ・マーディン。参加ミュージシャンはジェームス・テイラーはもちろん、スタッフのメンバー(スティーヴ・ガッド(Ds)、エリック・ゲイル(G)、コーネル・デュプリー(G)、ゴードン・エドワーズ(B)、リチャード・ティー(Key))、ウィル・リー(B)、ヒュー・マクラッケン(G)、ヘイミッシュ・スチュアート(G)、デヴィッド・サンボーン(Sax)等々…。楽曲毎にミュージシャンを変えてますが、スティーヴ・ガッドだけは殆どの曲で叩いてます。

本作を代表する楽曲が①「You Belong To Me」ですね。この曲のバックは上に挙げたスタッフのメンバー全員が揃って演奏しております。もちろんドゥービーブラザーズの、マイケル・マクドナルドのヴォーカルがあまりにも印象深いヒットで有名ですが、ここではやっぱりデヴィッド・サンボーンのサックスとカーリーのヴォーカル、スタッフの演奏が絡む後段が実に素晴らしい。この当時の極上のAORですね。ただしこのアルバム全体が、この曲のイメージ通りと思うと、実はそうでもないんですよね。やっぱりJTの影響も大きいんでしょうね。

その象徴的なナンバーがエバリー・ブラザーズのカバーの④「Devoted To You」。JTとの愛らしいデュエットです。レコーディングバージョンはリチャード・ティーのエレピとか、スティーヴ・ガッドの後段のパラディドルを用いたスネアワーク、ヒュー・マクラッケンの愛らしいギターソロなど、聴き所満載ですが、ここでは完全に2人だけの世界の演奏をアップしておきます。素晴らしいハーモニー…(達郎&まりやを連想してしまいます)。。

JTがヴォーカルアレンジを務めた⑤「De Bat (Fly in Me Face)」。
邦題「気まぐれコウモリ」、ちょっとコミカルでユーモアたっぷりな楽曲です。リズムはアフリカン。バックコーラスにルーサー・ヴァンドロスやジョン・ホール、JTが参加。こうしたちょっとお遊び的な楽曲がさりげなく収録されているのもいいですね。

⑦「Tranquillo (Melt My Heart)」もちょっと異色作。
時代を反映したのか、ちょっとディスコ調。カーリーとJT、プロデューサーのアリフ・マーディンとの共作。アリフ繋がりでアヴェレイジ・ホワイト・バンドのヘイミッシュ・スチュアートがギター&ヴォーカルで参加。彼のギターが一層ディスコ調を引き立ててます。グルーヴィーなベースはトニー・レビン。もちろんドラムはスティーヴ・ガッド。ここでのリズム隊もカッコいいプレイですね。

⑩「One Man Woman」はJTの作品。
如何にもJTが歌いそうな、ホーンが効いたR&B色の濃い楽曲。ファンキーなリチャード・ティーのピアノのプレイが素敵です。クレジットはないのですが、マイケル・ブレッカーのサックスソロに入る前、2分20秒過ぎに一瞬男性の掛け声が入りますが、コレ、恐らくJTでしょうね。その後のサックスソロ、ゴードン・エドワーズとスティーヴ・ガッドのリズム隊、めちゃくちゃグルーヴィーです。このグルーヴ感は日本人には出せないですね。

なかなかバラエディに富んだ作品集だと思います。JTとの仲も一番良かった頃だったんでしょうね。カーリーの音楽もかなりJT色に染まった楽曲もあったりして。

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