松田聖子 「SEIKO JAZZ」 (2017)
ラジオから流れてきた「Don't Know Why」が心地よく、誰かなと思ったらなんと松田聖子⁉
ちょっとビックリでした。それで当時すぐに本作を購入した次第。
松田聖子の全盛期、当時のJ-POPシーンを代表するライター陣、ミュージシャン、アレンジャー達は彼女の作品に英知を振り絞り、それら期待に見事に応えきっていた松田聖子のヴォーカル力、才能が溢れ出ていた初期アルバム群。これらは未だに日本を代表する名盤だと思ってます。そしてもちろん未だによく聴いてます。
そんな彼女がついにJAZZ…、かなり興味津々でした。
結論から先に申すと、ちょっと残念。彼女の持ち味がどこまで生かされているのか疑問…、というのが正直な感想。彼女に往年のキャンディヴォイスを期待するのは無理だと分かってますが、近年の彼女の歌い方を見ていると、かなり高音がキツイ感じで、それをタメやコブシで誤魔化していたような…。で今回、今の彼女の歌い方に合わせてJAZZに流れたということでしょうかね。
収録曲は以下全10曲。
①スマイル Smile
②追憶 The way we were
③イパネマの娘 The girl from Ipanema
④遥かなる影 (They long to be) Close to you
⑤マシュ・ケ・ナダ Mas que nada
⑥アルフィー Alfie
⑦静かな夜 Corcovado(Quiet nights of quiet stars)
⑧ドント・ノー・ホワイ Don’t know why
⑨恋の面影 The look of love
⑩星に願いを When you wish upon a star
この収録曲からでもお分かりのように、楽曲はポップス系の選曲中心。プロデュースはマンハッタン・ジャズ・クインテットのリーダーでもある大御所のDavid Matthews。お金をかけてますね~。ですからバックの演奏はしっかりジャズしてます。
①「Smile」のPVをアップしておきます。何ともゴージャスでジャジーな演奏ですね。でも松田聖子のヴォーカルがどうもしっくりきません。
②「The way we were」のPVです。
⑤「Mas que nada」は低音で歌われるので、一瞬「松田聖子??」って思ってしまいました。彼女が歌う必然性があまり感じられないかもしれません。
ノラ・ジョーンズの⑧「Don’t know why」は彼女なりの歌い方で歌っており、これはこれでアリかなと。もちろん原曲のノラ・バージョンは大好きです。
永遠のスタンダードナンバーの⑩「When you wish upon a star」。アレンジにうっとり。
やっぱり本作、全体的には彼女の歌い方、声質が、JAZZに合っているのかどうか、個人的には違和感を覚えてしまいました。ただバックの演奏はしっとりしており、曲中心で聴く分には無難なアルバムです
実はこのアルバムを聴いていて、以前フジテレビ系「ボクらの時代」に出演した郷ひろみのコメントが思い出されました。
(以下引用)
30代で「もう少し格好いい音楽やりたいなって思って」という。それでも「40代の中頃から米国にもう1回、勉強に行って。いろんなことありましたよね、人生は。結婚して、離婚して、再婚してまた離婚して。そういう中で気づいたんですけど、歌謡曲のド真ん中行くのが郷ひろみなんだって。これでいいんだって吹っ切れたのが実は50歳ぐらい。それまでいろいろ試行錯誤、紆余曲折が会った中でそういう考えに行き着いたんですよね」
これって歳や体力を考えたら、なかなか言えないことですよね。
松田聖子もひょっとしたら同じことが言えるのかもしれません。たまにはこうした変化球もいいけど、やっぱり(タメやコブシなしの)ポップス(=歌謡曲)を永遠に歌って欲しいものです。
(SEIKO JAZZは好評のようで、シリーズ化されてますね)