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Laura Nyro「Gonna Take a Miracle」(1971)

フィフス・ディメンションが大好きだった私にとって、彼等がよく採り上げていたローラ・ニーロの楽曲はどれもお気に入りの楽曲でした。そういった訳でローラ・ニーロ自身も大好きなアーチストです。

本作はローラ・ニーロの5枚目のアルバムにして、カバーアルバムです。
まず気になったのはプロデューサーがなんとギャンブル&ハフ。フィリー・ソウルの大御所ですね。そして裏ジャケにはラベルが厳つい顔で映ってます。ラベルはパティ・ラベルをリーダーとした黒人女性3人組のコーラスグループですね。
う~ん、ローラってジョニ・ミッチェルやキャロル・キングのようなタイプのシンガーソングライターではなかったっけ?
当時(後追いですが)本作に対する予備知識が殆どなかった私は、この面子の意味するところを全く理解せずに購入したのでした・・・。

早速1曲目から驚愕!
60年代ガールズポップスっぽいアカペラコーラス&手拍子の①「I Met Him On A Sunday」。カウベルが印象的な演奏もいいですね~。
この時点でこのアルバムが只者ではないことを感じ、レコーディングデータを見ると、アレンジはトム・ベル。ギターはノーマン・ハリス、ベースはロニー・ベイカーパーカッションはヴィンス・モンタナ、オルガンはレニー・パクラ・・・。
おお~! これは後にMFSBとして知られることとなるサウンド・オブ・フィラデルフィアの音楽集団ですね。そしてもちろんレコーディングスタジオはシグマスタジオ!
1971年の時点でこの面子で、しかもR&Bカバー集を作るとは・・・。

私のお気に入りは③「Monkey Time/Dancing In The Street」。メジャー・ランス~マーサ&ザ・ヴァンデラスのカバー。
2曲メドレー形式ですが、とにかくソウルフルでパワフル。パティ・ラベルをも圧倒するローラのヴォーカル。曲はMFSBの熱い演奏と、ラベルの圧倒的なコーラスで3曲目にして早くも最高潮に達します。
とにかくかっこいいです。

ビートルズのカバーで有名な⑤「You've Really Got A Hold On Me」。ご存知スモーキーロビンソン&ザ・ミラクルズのカバー。
この曲、後半でアップテンポになるのですが、これがまたクールでかっこいい。ランニングベースもいい味出してます。
原曲って確かこんな感じではなかったと思います。そうするとやはりトム・ベルのアレンジも冴えてますね。

そして一転熱いR&Bナンバーの⑨「Nowhere To Run」。またまたマーサ&ザ・ヴェンデラスのカバーです。
こちらもMFSBが最高にソウルフルな演奏を聴かせます。ラベルのコーラスが絡み合う熱いジャンプナンバー。これは相当レコーディングでも熱くなっていたでしょうね~。間奏のアカペラ。う~ん、圧倒されます!!
ノーマン・ハリスのギターソロがちょっとジャージーで、これもいいですよ~(涙)。

本作の熱い出来事がまるで夢であったかのような思いに誘う⑩「It's Gonna Take A Miracle」。本作のエンディングトラックはやっぱりコレですね。ストリングスも美しい。
ローラ・ニーロの作品において本作は異色の作品のようですね。彼女の原点を歌ったカバー集ですが、完全にローラの熱い世界観がオーラのように感じられます。

下の映像のように、もともと歌いっぷりもソウルフルですね~。

本作はフィリーソウルらしさは感じられませんが、フィリー黎明期の貴重な熱い演奏、ラベルの感動的すらあるコーラスも聞きもの。
やはり名盤ですね。

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