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The Jacksons 「The Jacksons」 (1976)

マイケル・ジャクソンのキャリアのスタートとなったジャクソン・ファイブ。弾けるようなポップス(所謂バブルガム・ポップ)と素敵なメロディが魅力的で、未だによく聞きます。確かに60年代の末から70年代初頭にかけてのジャクソン・ファイブの人気は凄まじいものがあったようで、デビュー曲「I Want You Back」から4曲連続No.1をきろくします。
でも時が経つにつれて、流石にそういった人気にも翳りが出て来てしまいます。ジャクソン・ファミリー・サイドは作曲やプロデュース、演奏をメンバーに任せて欲しく、モータウンとも交渉するのですが、決してモータウンはそれを許しませんでした。バンドが長続きするには、一定の展開が必要なのですが、結局モータウンはそれを理解しなかったのですね。

そして1975年、ジャクソンズは新たにCBSソニーと契約します。もちろんモータウンとは訴訟沙汰になるのですが・・・。ちなみにジャクソン5というバンドの使用権はモータウンに帰属しているとのことで、グループ名もジャクソンズと改名します。そのCBSソニーからの第1弾アルバムが本作。

これが実にいい。フィリーソウルの名プロデューサー、ギャンブル&ハフが全面的にタッグを組んでます。全体的にはギャンブル&ハフのサウンドに、ジャクソンズが乗っかっているという感じ。もちろんシグマ・サウンド・スタジオでのレコーディングで、ミュージシャンはそのご用達、MFSBの面々。ドラムはアール・ヤング、ベースはロニー・ベイカーでしょうか。

1曲目からギャンブル&ハフ色全開ですね。①「Enjoy Yourself」、邦題「僕はゴキゲン」。
力強いリズム隊、うねるリズム。それでいてコーラスはジャクソンズらしくソフト。そこにマイケルのリズミカルなヴォーカルが重なります。悪い筈がないですね。あのジャクソン5のバブルガム・ポップな要素は、ここには全く見受けられません。

②「Think Happy」はスピーディなフィリーサウンド。
「Enjoy Yourself」がファンク色が強かったのに比べると、こちらはかなりソウルフル、かつポップ。こちらもギャンブル&ハフらしい味付けです。

5曲目にきて初めてジャクソンズのオリジナル曲に出会えます。⑤「Blues Away」・・・、ジャクソンズの作曲となってますが、実際はマイケルの作品と思われます。①~④はフィリーの流れを感じさせますが、⑤は明らかにAORの香りが漂ってますね(③のスローバラードの素晴らしいのですが)。もうこの時点でこうした時代を超越したような作品を作っていたマイケルの非凡な才能に驚かされます。この曲、個人的には後にポール・マッカートニーとデュエットした「The Girl Is Mine」にそっくりと感じます(つまり、だからこそこの作品はマイケルの単独作品と思えるのです)。実に気品漂う素晴らしい作品。

引き続きB面にいっても、素晴らしい楽曲が続きます。シングルカットされた⑥「Show You the Way to Go」(邦題「愛ある世界へ」)。
こちらもギャンブル&ハフの作品なんですが、後のスムーズ・ジャズを彷彿させる洒落た大人のサウンドです。何といってもバックのスライドっぽいギターが効果的です。そしてエンディングでのフェードアウト気味にドラムとベース、押さえ気味のキーボードだけになっていくところ、そこに例のギターとマイケルのエモーショナルなヴォーカル。そして再び元に戻る・・・、このエンディングが素晴らしい。一味違うジャクソンズがここにはあります。

あ~、まだまだ名曲が続きます。⑦「Living Together」はMFSBのメンバーであったDexter Wanselの作品。
スピーディーな16ビートサウンド。ホーンが豪快であり、ギターのカッティングがカッコいい。当時の山下達郎さんなんかが、好きそうな曲。ジャクソンズのコーラスワークも素晴らしいです。

本作にはジャクソンズが作った作品は2曲収録されてますが、もう1曲の作品がエンディングの⑩「Style of Life」。こちらはマイケルとティト(ジャクソン家の次男/リードギター)の共作。やっぱりフィリーの香りが漂う作品。わかり易いサビですね。

私はこのアルバムを聴いて、ジャクソンズを見直しました。ジャクソン 5のアルバムは、シングルを集めたベスト盤は楽しめるのですが、アルバムとなると、なかなか通して聴くには・・・って感じなんですが、このアルバムはどの作品も出来が良く(もちろんそれがギャンブル&ハフの手腕によるところが大きいかもしれませんが)、聴き飽きないんですよね。
ただしアップした映像の通り、やっぱりマイケルがフューチャーされてしまいますね。マイケルは同時にソロのキャリアもスタートさせ、クィンシー・ジョーンズとタッグを組み、見事に大成していくことは皆さん、ご存知の通りですね。


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