浜田省吾「君が人生の時」(1979)
たまに無性に聴きたくなるアルバムってありませんか?
私は浜田省吾の初期のアルバムが無性に聴きたくなる時があります。彼の楽曲、特に初期のフォーキーな楽曲は、感情移入しやすい曲が多いんですよね。
ということで本作は、その代表的な一枚。1979年発表。浜田省吾の初期を締めくくる傑作アルバム。この後浜田省吾はアメリカン・ロックからの影響が窺えるロック色の濃い「Home Bound」を発表。商業的にも大ヒットを飛ばすこととなります。本作品では、浜田省吾初期のメロディアスなフォークソングが聞けます。
このアルバムもリアルタイムでないのですが、学生時代によく聞いておりました。大学時代のバンド活動では、御多分に洩れずハマショーもカバーしておりましたが、カバーするとなると、大抵はこの後のアルバムが中心となるし、実際私も初期の曲では「路地裏の少年」しかカバーしたことがないですね。でもこのアルバムはよく聞いておりました。それは収録曲に佳曲が多いからなんです。今のハマショーからは想像が付かないようなポップス。私にとってはフォーキーでポップスなハマショーが今でも大好きなのです。
オープニングはカップラーメンのCMソングにも採用された①「風を感じて」。当時、日清食品がスポンサーを務める番組に出演しなくてはならないといった規約があったようで、気骨心の強いハマショーは、そういったCMソングの歌詞を書くことを拒否。そのため三浦徳子が代役として書いたらしい。ハマショーらしいエピソードですよね。
でも楽曲は圧倒的にポップ。結構大好きだったりします。この曲はベースが後藤次利、ドラムが林立夫。
切ないメロディーのバラードの③「さよならにくちづけ」。ハマショーお得意の3連ロッカバラード。出だしの
♪ ノート片手に 教室出ていく 君に声を掛けた 土曜の昼下がり ♪
の歌詞から、この曲の世界観に引き込まれてしまいます。そう、この曲は若い時に誰もが経験するような、ほろ苦い別れの曲なんです。
♪ さよなら 青春の日 Kiss & Good-bye ♪
四畳半フォークの典型的な楽曲の⑦「4年目の秋」。ムーンライダーズの武川雅寛のフィドルや町支寛二のコーラスが素晴らしい。
今ではこういう曲って、あまり受け入れられないのでしょうかね。個人的には今でもこういう切ないフォークは胸に刺さります。
これもまたハマショーらしいロックンロールナンバーの⑧「今夜はごきげん」。ディスコチックなベースは岡沢茂、カッコいいドラムは菊池丈夫、そしてギターはアレンジャーでもある水谷公生。
ライブ映えする楽曲ですよね。こうしたロックナンバーでも、実は町支寛二のコーラスが確り支えているような気がします。
ちょっとウエストコーストロック、いやカントリーロックからの影響が窺えるような⑨「いつかもうすぐ」。
夢や希望を歌うハマショー…。この当時の楽曲はメロディ、アレンジ、歌詞…、どれもが胸に染みます。
そして世紀の名曲⑩「君が人生の時…」。この曲は何回も何回も聴き、そして歌ってます。歌詞とメロディがあまりにも素晴らしい。
♪ Time Of Your Life 抱きしめるがいい
ただひとつの 君が人生の時… ♪
驚きなのは、こうした名曲のコードが実は単純なもの多いということ。すぐにギター片手に弾き語りが出来るところがハマショーの楽曲のいいところですね。それから昔からのパートナー、町支寛二のコーラスもチャーミング。
浜田省吾は多くのアルバムを発表しており、人によって好きなアルバムは大きく変わってくると思いますが、初期オフコースが好きな方は是非本作品を聴いてみてください。素晴らしい1枚です。