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Billy Joel「Glass Houses」(1980)

1980年という年はいろいろなアーチストがロック寄りのアルバムを発表してます。ボズ・スギャッグスもそうだし、クィーンも「Crazy Little Thing Called Love」というロックンロールをヒットさせてます。
そしてビリー・ジョエルのこのアルバムも、従前のものと比べると、かなりロック色が強く、従来のファンを驚かせたものです。

また私にとっては、洋楽を聴き始めた頃に目にしたジャケットで、その中身は聴いていなかったんですが(苦笑)、カッコいいジャケットだな…と感じた記憶がございます。

70年代後半のビリーは、アルバム「The Stranger」(1977)、「52nd Street」(1978)と素晴らしいアルバムを発表していきます。そして本作は2枚のビッグヒットアルバムの後の多大な期待が寄せられるなかで発表されたアルバムです。ビリーの余計な気負いを感じさせない会心の1枚となりました。そしてジャケットもかっこいい。プロデュースはお馴染みのフィル・ラモーン。

ジャケットのビリー、石をグラスハウスに投げつける構図になってますが、ガラスの割れる音とともに始まる①「You May Be Right」はジャケットと紐づけられたような楽曲。
邦題はなぜか「ガラスのニューヨーク」。ストレートなロックで、バックを務めるビリージョエルバンドの演奏が心地いいです。このバンドのドラマーはリバティ・デヴォート。シャープなドラムを叩く人物で、個人的には彼のプレイが大好きです。この曲のエンディングのタムプレイのグルーヴ感なんかいいですね。

②「Sometimes a Fantasy」も電話のプッシュ音から始まる凝った作りです。シャープなロック。シンセの使い方が80年代っぽいですが、これも基本はストレートなロックです。ちなみに邦題は「真夜中のラブコール」。まあ、この邦題は①より理解できますけどね。

従来のビリー節が感じられる③「Don't Ask Me Why」。この曲も大好きです。ビリーにしては珍しく、アコースティックギターが楽曲の中心に据えられてます。ピアノではないんですね。ライナーノーツには「ラテン・リズムを巧みに使った…」とあります。パーカッションの使い方なんかはラテンを意識してますね。
メロディーラインはキャッチーなもので、わずか3分ですが素晴らしいポップスです。

タイトル通りの④「It's Still Rock & Roll to Me」。ここまでストレートにやられると確信犯的ですね。邦題「ロックン・ロールが最高さ」・・・。

個人的に思い出深い1曲が⑤「All for Leyna」。なぜかシングルレコードを持っているんです。自分で買ったのか、友人から貰ったのか、憶えていないのですが、ビリーのシングルで唯一所有している曲。
当初は「さよならハリウッド」辺りがリアルタイムで聴いた曲かなと思っていたのですが、多分この曲がビリーをリアルタイムで聴いた初めての曲なんですよね。
「Don't Ask Me Why」とは違った意味でビリー節が聴ける1曲ですね。これはピアノがキーとなっている曲であり、ロック的要素もうまく吸収されたビリーサウンド。またバンドとしてもうまくまとまっていますね。

私はこのアルバム、6曲目以下のB面はどうも聴き飛ばしてしまいます。それくらいA面のテンションの高さが凄いということなんですが…。とはいえB面もレゲエ調の曲やストレートなロック等悪い楽曲ではありませんので。

そしてビリーは80年代を迎え、更なる飛躍を遂げていきます。

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