Hall & Oates「Abandoned Luncheonette」(1973)
GWらしく、ちょっと爽やかな1枚を。
80年代の洋楽ロックを牽引していったホール&オーツ。実は70年代のデビューから3枚のアルバムは、あのアトランティック・レーベルから発表しております。
彼等のこの時代の作品はもともと聴かず嫌いで、それらは安直なベスト盤に無造作に放り込まれている印象があったんですね。知っている曲といえばせいぜい「She's Gone」くらいでした。
ところが数年前にたまたま本作を聴く機会があり、非常に驚いた次第です。本作は彼等のセカンドアルバム。これがなかなか味のある作品なんですよね。
まずオープニングの①「When the Morning Comes」のイントロにたまげました!!
フォークギターにのどかなシンセ音。これは本当にホール&オーツであろうか??そしてあのダリルの声。やっぱり間違いない、ホール&オールです。
当時はブルーアイドソウルなどと彼等を呼んでいたようですが、確かにファルセットを使ったダリルのヴォーカルにはそういった感じが伺えますが、むしろフォーキーな楽曲で心地いいですね。
②「Had I Known You Better Then」。ここまで来ると私のツボですね~。もろフォーキーでメロディアスな佳曲。しかもジョン・オーツの作品。
80年代をリアルタイムで過ごした私としては、ジョンってダリルの後ろでウロウロしている髭のオジさんというイメージしかなかったのですが、こんな素晴らしい曲を書いていたんですね~。ジョン、大変失礼しました。
そして一部にはこれが最高傑作とも言われている③「Las Vegas Turnaround」。なんとこれもジョン・オーツの作品。
これ、私大好きな曲なんですよね~。爽やかなフォーキーソング。二人の息の合ったコーラスが聴けます。彼等のコーラスを聴くと、明らかにフィリーの香りがしますね。フォーキーだけど、フィリーソウルの味付けが微妙にまぶされており、これが当時のホール&オーツの素晴らしさに繋がってくるのでしょうね。いや~、いい曲です。
③「Las Vegas Turnaround」のフォーキーな部分を取り除き、更にソウルに傾斜していったのが④「She's Gone」。これは何の説明も要らない名曲ですね。ストリングスとかブラスアレンジもいいし。ちなみに本作のプロデュースはアリフ・マーディン。この作品のアレンジはアリフの力に寄るところが大きいかもしれません。曲の後半、ブラスで盛り上げ、曲が転調していくところ、堪りませんね~。
アルバムでいうB面は比較的実験的な曲が並んでますが、表題曲⑥「Abandoned Luncheonette」とか⑨「Everytime I Look at You」なんか魅力的です。
「Everytime I Look at You」は音楽的にはかなり意欲的で、ファンキーな黒っぽさがいいですね。そういった楽曲なのに後半、バンジョーが出てきて、なんと最後フィドル&マンドリンが曲を盛り上げます。カントリーですね。
このアルバムを聴いていて、ふっとオフコースを連想してしまいました。オフコースも小田氏と鈴木氏のデュオ時代はフォーキーな楽曲が多く、素朴なメロディラインが素敵でした。後にオフコースもAOR系の音作りとなっていきましたが、ホール&オールもまた、こうした足跡があった上で、あの80年代の大ヒットがあったんですね。
本作は80年代のホール&オールからは想像が付かない、70年代らしい名盤です。そしてジョン・オーツの才能も改めて見直してしまいました。
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