Hall & Oates「Bigger Than Both of Us」(1976)
ホール&オーツというとエイティーズ世代の私にとっては、「Kiss On My List」等の、ポップス然とした楽曲がすぐに思い浮かぶのですが、70年代のホール&オーツはまた別の顔を見せていた、とても魅力的な時期でもあります。
この1976年に発表されたアルバム、邦題は「ロックン・ソウル」と付けられていますが、その邦題の通り、実にフィリーソウル感覚に溢れた素晴らしい仕上がりになっております。
まだまだ暑さも厳しいですが、このアルバム、特にトップの①「Back Together Again」のイントロのトム・スコットのサックスの爽やかなこと。実に味わい深いです。
でもそれに続くリフは非常に黒い! ジョン・オーツの趣味がモロに出た味わい深い作品ですね。ジョン・オーツといえば、もうエイティーズの全盛期ホール&オーツにおいては、イケ面ダリル・ホールの横でチョロチョロ動いている変な髭おじさんにしか見えなかったのですが、この当時はバリバリのミュージシャン(という言い方も変か)。いい曲も書いてます。
そして2曲目はご存知②「Rich Girl」。全米No.1の大ヒットを記録し、ホール&オーツが一躍スターダムにのし上がった名曲。改めてこの曲を聴いてみると、やっぱりバックのオケとかコーラスがフィリーしてますね。それからリズム隊が重い。実は甘ったるいポップスではなかったのですね。ちなみにこのアルバムの主要参加ミュージシャンは以下の通り。
Ed Greene、Jim Gordon(Drums)
Leland Sklar、Scott Edwards(Bass)
Tom Scott(Saxophone)
重いハズですね。違う演奏メンバーですが、かっこいいライヴを。
このアルバムからファーストシングルはなんと④「Do What You Want, Be What You Are」。とてもブルージーなナンバーなのです。シブイシブイ。
こうした楽曲を最初にカットするあたり、相当自信があったのでしょう。ダリルのソウルフルなヴォーカルが堪能出来ます。
後のモダンポップを彷彿させるナンバーが⑤「Kerry」。アレンジを変えれば80年代に収録されても違和感のない楽曲かもしれません。
そもそもホール&オーツはフィリーソウルやフォーキー感覚が持ち味だったのが、徐々に時代の変化を汲み取り、そういった感覚をうまく消化し、デヴィッド・フォスターと組んだことでダリル・ホールが一皮むけたことが商業的大成功の要因だと感じてますが、そういった意味ではこの曲、その片鱗が窺えます。
最後は10CCを思わせるしっとりしたコーラスが印象的な⑨「Falling」。
YouTubeに貴重なこの楽曲のライヴ映像がありました。このセットでもこの曲はエンディングトラックだったようです。
このアルバム、やっぱり名盤ですね。まだまだフィリーをしっかりやっていた頃のホール&オーツはとても魅力的です。私は80年代のホール&オーツがリアルタイムなのですが、当時はこの頃のホール&オーツはちょっとなあと思っていたものですが、今では逆ですね。
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