Linda Ronstadt「Hasten Down The Wind」(1976)
お付き合いのあるブロガーさんがリンダ・ロンシュタットを採り上げていたので、改めてこちらもリンダを…と思い、自分のブログをチェックしたところ、私にとっては大事な作品をまだ記事にしていなかったので、早速採り上げることにしました。それが1976年に発表されたリンダ7枚目のアルバム「Hasten Down the Wind」です。
何が大事なのか…。私、カーラ・ボノフが大好きなんですよね。そうです、本作はリンダがカーラの曲を3曲も採り上げたアルバムなんです。カーラが一躍脚光を浴びることになった重要な作品ですね。
カーラ・ボノフはこの作品をきっかけにコロンビア・レコードと契約(アサイラムでないところが不思議です)、1977年にアルバム「Karla Bonoff」でデビューを飾ります。
ちなみにカーラ・ボノフは1969年に結成されたブリンドルに在籍。ブリンドルはケニー・エドワーズが、リンダ・ロンシュタットと組んでいたストーン・ポニーズ解散後に結成したバンド。メンバーは他にアンドリュー・ゴールド、ウェンディ・ウォルドマン。そうです、このメンバー4人全員がリンダ・ロンシュタットと大いに関わりがあるんですよね。
ケニーはリンダの1974年発表の「悪いあなた」で再びベース奏者としてタッグを組み、アンドリューも同アルバムから八面六臂の活躍。ウェンディはその前からバック・コーラスで参加しております。そしてようやく遅ればせながら、カーラがこの作品で曲提供、そしてバック・コーラスで参加。余談ですが、本作はブリンドルの4人のメンバーが全員揃った恐らく唯一のリンダの作品です(多分)。
ジャケットも美しい。多くの男性はリンダの胸ポッチに目が行ってしまいますが、ここではそこにあまり触れません(苦笑)。デザインはビートルズやイーグルスの仕事でも有名なジョン・コッシュ。プロデュースはお馴染みのピーター・アッシャー。前作発表時点でJ.D.サウザーとの関係がプライベートでも終わり、本作ではいよいよアンドリュー・ゴールドがマルチ・プレイヤー振りを発揮しております。他にダン・ダグモア(G)、ワディ・ワクテル(G)、ケニー・エドワーズ(B)、マイク・ボッツ(Ds)、ラス・カンケル(Ds)…お馴染みのメンバーが参加しております。
前述の通り、本作ではリンダはカーラ・ボノフの曲を3曲も採り上げております。その内の2曲をご紹介しておきます。
まずはアルバムトップの美しいバラードの①「Lose Again」。
オフィシャルPVでもエレピとコーラスを担当するアンドリュー・ゴールドが目立ってますね。力強いリンダのヴォーカルが実に印象的。
そしてカーラの作品の2曲目は③「If He's Ever Near」
「Lose Again」ではコーラスをアンドリューとケニーのブリンドル男性陣2人が担当しておりましたが、こちらはカーラとウェンディ・ウォルドマンのブリンドル女性陣が担当。恐らく曲調の違いから敢えて混成とせずに男性、女性を分けたのでしょうね。このコーラスの違いをお楽しみ下さい。こちらは非常に繊細な感じですよね。ちなみにこの曲ではカーラとウェンディがコーラス、アンドリューがオルガン、ケニーがベースとブリンドルのメンバー全員が参加しております。
一転してロック調のナンバーのバディ・ホリーの④「That'll Be The Day」。こちらはシングルヒットしました。
同年、アンドリューはセカンドアルバムを発表しますが、そこにもバディ・ホリーの曲(「Learning the game」)が収録されてますし、リンダの次のアルバムからの大ヒット曲(「It's So Easy」)もバディ・ホリーのカバーでした。個人的にはこれはアンドリューの趣味じゃないかなと思ってますが、このテの曲を歌わせたら、リンダに敵う人ってそうそういないですね。あとアップした映像でもお分かりの通り、アンドリューとケニーのコーラスがかなりアクセントになってますね。ファーストギターソロがワディ、セカンドがアンドリュー。
ウォーレン・ジヴォン作の⑥「Hasten Down The Wind」。
こちらも美しいバラードですね。この曲の聴き所は何と言ってもドン・ヘンリーのコーラス。リンダのバック・バンドだったイーグルス。ドンからすれば、リンダへの感謝の念は大きかった筈。この曲への参加はそうした気持ちの表れだったのでしょうか。ちなみに本作の発表が1976年8月。そして「ホテル・カリフォルニア」は同年12月。この後、イーグルスは更に大きな飛躍を遂げるのでした。
⑦「Revers Of Babylon」はジャマイカのレゲエ・グループのThe Melodiansが1970年に発表した作品。歌詞には旧約聖書「詩篇」の一節が用いられており、バビロン捕囚に嘆くエルサレムの民らの悲哀が歌われてます。リンダはこれをアカペラで披露。アンドリューとケニーがしっかりリンダを支えるコーラスを披露した映像をアップしておきます。この映像を見てお分かりの通り、このアルバムはこの二人(アンドリューとケニー)の全面サポートで作り上げた1枚なんですよね。そしてこの曲は3人の結束がよく表れた1曲だと思います。
ウィリー・ネルソンが1961年に発表した⑩「Crazy」。
原曲よりも更に少しテンポを落とし、ちょっとジャージーな味付けにしたカントリータッチな楽曲。印象的なスティール・ギターはダン・ダグモアのプレイ。
本作発表後にソロとしても大成功を収めたアンドリュー・ゴールドは、リンダの次作「Simple Dreams」には参加しておりませんが、この「Simple Dreams」も70年代のリンダの誉れ高き名盤。また何れこちらもご紹介したいと思います。
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