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【考察】映画「君たちはどう生きるか」を、僕はこう解釈した【ジブリ】
宮崎駿監督にとって10年ぶりの長編監督作品である「君たちはどう生きるか」。映画公開まで、キービジュアル以外の情報を徹底的に隠してきたに本作について、僕が感じたことを気の赴くままに書いていこうと思います。
まずは簡単にあらすじの振り返りから。
母親を火事で亡くした少年眞人は、新しい母親である夏子が待つ「青鷺屋敷」へと引っ越しをする。そこに待ち受けていたのは、言葉をしゃべるアオサギと不思議な世
【大成功】文フリ東京36の舞台裏!
こうして自分の声をnoteに載せるのははじめてになります。改めまして、飛由ユウヒと申します!
普段は名古屋を拠点に、文学サークル「ゆにばーしてぃポテト」にて年に一冊、合同誌「DITTO MAKER」の作成に尽力しております!
そんなぼくが、サークルとしてではなく、個人で、2023年5月21日(日)の文学フリマ東京に出店してきました!
話をしたいことがたくさんありすぎてうまくまとめられる自信が
【掌編小説】うつろな虎視/飛由ユウヒ
『こちらは、防災山尾高です。ただいま、南沢こども動物園から、虎が一匹、脱走したとの報告を受けました。これから読み上げます、ご住所にお住いのかたは、大変危険ですので、外出をお控えていただくよう、ご協力お願いします。八城地区、青台地区、鳩場地区、米井地区。ただいま申し上げた地区にお住いのかたは、外出をお控えていただくよう、ご協力お願いします。繰り返し、申し上げます。こちら、防災山尾高です。ただいま、南
もっとみる【掌編小説】とべないわたし/飛由ユウヒ
「ねぇ。年始にさ、旅行にでも行かない?」
連日の妄想で貯まった勇気を糧に尋ねてみる。二度温められた生姜焼きを無表情で頬張る彼は、仕事で疲れているのかあまり元気がない。せっかく作ったんだから、嘘でもおいしそうに食べてほしいと思いながらも、彼よりもちょっぴり大人なわたしは冷静に、いかにも素敵な提案をしている風を装ってみせた。
「付き合って半年経つし、お互い四日まで休みでしょ? それにこれ見て」
【掌編小説】平行線の間に犬/飛由ユウヒ
「孝太郎に任せて良かったよ。いつも気怠そうにしてるけど、案外責任感あるのね。それじゃあリクをよろしく」
最近になって下の名前で呼びはじめた安藤さんが、顔の横で小さく手を振る。夕焼けを吸った彼女の髪は穏やかにきらめいていて、おれの気持ちを静かにあおる。それはあまり良くないことだと無意識に感じながら、姿が完全に見えなくなるまで見送った。手の中にある、擦れた朱色のリードを握り締めると、律儀に座るボー
掌編小説「レモンケーキと忘却」
数年ぶりにお菓子を作った。レモンケーキだ。
バレンタインデーが近いということもあったが、なによりも家事をするだけの日々に退屈を感じていた。手軽な非日常体験が欲しかった。
「わたしにしては上手に出来たと思わない?」
晩御飯を囲みながら、七森は携帯の画面を見せつける。インスタグラムに投稿した写真には既にいくつかの〝いいね〟が付いていた。向かいに座る茶坂が「え、俺の分残ってないの?」と口にし、実物
掌編小説「無観客をゆけ」
「姉ちゃん。仕事なら自分の部屋でやってくれよ」
え、と振り返る。箱根駅伝の実況が熱を帯び、うまく聞き取ることができない。
弟の手には年賀状の束があった。「わたしのある?」と手を伸ばす。年末にかけて激化した残業のせいで一枚も出せていなかったが、それでも気になってしまう。
「帰省してまで仕事するとか頭おかしい」
渡されると同時に、愚痴を聞かされる。北春は口をへの字に結び、うるさいな、と年賀状を奪
掌編小説「可能性のバトン」
まるで世界の終わりそのもののような夕陽が、ブラインドの隙間から差し込む。誰かが号令を掛けた訳でもなく、背筋を伸ばす人、コーヒーのおかわりを用意する人、夕食を買いに行く人が現れ、一日の長さが上書きされる。入社してもうじき三年が経つ。この光景になにも感じなくなってしまった自分が嫌になる。
マウスから手を離すと、汗が滲んでいた。モニターの端に写し出される時計を一瞥し、神経を研ぎ澄ませつつ、茶坂はひ
掌編小説「拝啓、名も無き仕事たちよ」
わたしの職場は最高だ。抱かれたくもない男に飲まされたウォッカくらいに。
シュレッダーに吸い込まれていく雑紙を眺めながら、北春はそんなことを考えていた。
頼まれた紙は段ボール一箱分に上る。指先の感覚で八枚ほどめくり、そこからさらに二枚を加え、挿入口へと押し込む。するとモーターの駆動音はわかりやすく元気を失くし、半ばで力尽きた。北春はため息をつく。
上司はこの業務を何分で終わる計算でいたのだろ
掌編小説『銭と絆創膏』
目の前の背中になにを思うでもなく、社会の対流に身を任せていたはずだった。
頭が真っ白になる。茶坂は行く手を阻まれ、えっ、と声を漏らした。赤い警告音。人混みから飛び出る舌打ち。手に持った定期券。寝ぼけた意識がすこしずつ戻り、そうだ、更新してなかったんだ、と思い出す。
体を小さく丸めながら、へこへこと改札を抜け出る。まるで不良品にでもなったような気分だった。
窓口から小綺麗なスーツの行列が伸び