夕陽に溶けて。
夕陽を見ている間
私は境目のない空の粒子に溶けてゆく
音も光も感覚も感情も思考も身体も心も
ただただ緩やかで柔らかく
溶かされてゆく
帰り道を静かに歩きながら
溶けていた私はまた形成されて
生活を始めてゆく
それはとても不思議でおかしな感覚
だけど人が救われるものは
そんな形のないものでもいいでしょう?
夕陽を見つめる
その間だけは
確かに私自身がひとつの自然に還る
その間だけは
全てが許されている。許される。
そんな気がしているから。
だから私は夕陽に会いに行く。
全ては包み込むことができるんだよ。
悲しみも苦しみも喜びも楽しみも
愛することは出来なくても
忘れることを選んでも
捨てることはしなくていいんだよ。
全てを包んで、ゆっくりと撫でて、
一緒に歩いていきたいね。
あなたにも そんな瞬間がどうか、
そばにありますように。