私なりの生き方と覚悟
何回も、何十回も自分に言い聞かせてきた
“もう覚悟を決めな”って
だって私の病気は治らないから
いや、正確には“根本的な解決策はないから”
染色体のおかしくなったところを正しい形にはできるよって言われた
でもそれをしたところで機能が落ちた臓器が元通りにはならないよって
それをやっても薬が要らない身体にはならないし
それをやっても普通になれるわけじゃないから
やっても意味がないって
あの時の私にできたのは、ちゃんと毎日薬を飲むことと病院にちゃんと行くこと
私にできるのはそれだけだった
それしかなかった
「何が起きてもおかしくない」と病院の先生は言った
どんな病気になりやすいのか
数年後、十数年後に私の身体がどうなっているのか
誰にも分からないことだけが分かっている
薬を飲めるかどうかを調べるための血液検査では毎回異常値が出る
検査の項目に一つ二つ印がついている
それは肝臓だったり甲状腺だったり、はたまた白血球とか腎臓とか
どれが出るかのクジを引くみたいだなって思ったりする
今を生きていくためには覚悟を決めるしかなかった
その場に立ちすくんで歩かない選択肢もあるにはあるけど
私が私にそうすることを許せなかった
明日の朝が迎えられないかもしれない
夢まで手が届かないかもしれない
親友と離ればなれになるかもしれない
自由になれないままかもしれない
「そんなのみんな同じだよ」って言われたらおしまいだけど
私はその“もしかしたら”がすごく怖い
でも生きなきゃいけない
生きるためには受け入れないといけない
苦しい現実と
厳しい今と
不透明な未来の全てを
それならいっそ、優しくない現実なんか全部飲み込んでやろうって
どんな無理難題だろうとかかってこいって
負けてなるものかって
そうやって強くならないと次の瞬間には死んでしまいそうだった
だから強くいようと決めた
ハンデをそのまま背負って生きようって
そうして生きていれば何もかも笑い飛ばせる日が来るんじゃないかって
その“いつか”がいつになるか分からないし
来ないかもしれないし
来るまで生きられないかもしれないし
来たときに私が私でいられるかも分からない
でも
その“いつか”を待っていようと決めた
親友と約束した未来を信じようと決めた
丁寧に一日ずつ重ねていたら届くはずだから
空の青色に指先を浸せる日が来るはずだから
その日までは生きてやろうって
生まれなかったはずの私が
生きていなかったはずの私が
こんな人間もいるんだって証明しようと決めた
生き様を描き切ろうと
人生を表現し尽くそうと
そうして最後に見る景色は
きっと何より美しいはずだから
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