認知症のオカン、心のちゃぶ台ひっくり返す!
母は穏やかな優しい人だ。
でもときどき何かのスイッチが入り、父にだけキツく当たる。
父は穏やかな人、強い言葉や暴力的な行動は一切ない。
しかし、意思が強く、絶対に考えを曲げない。
我が家は、両親と妹、祖父母と同居だった。
祖母は、家事が大嫌いで、タバコとパチンコが大好きだった。働いていた母が、ほとんど家事をこなしていた。
祖父は、休みの日は午前中からタバコを吸いながら、一升瓶片手に、お酒を飲んでいた。平日ですら、仕事を早退をしてお酒を飲んでいた。
むかしは、酒屋が御用聞きに来る。そしてしばらくすると一升瓶のお酒が数本届く。1ヶ月分まとめで月末に集金が来る。まるでサザエさんの世界だ。
サザエさんのような平和な家庭なら良い。
祖父母が昼から酒を飲むから、かなり高額な請求になっている。当然のように、支払いは両親の財布からだ。
と言うより、両親の財布は祖母が握っている。
家の中は、お酒の匂いとタバコの煙で息もできないくらいだった。それと同じくらいの、別の澱んだ空気で、息ができなかった事を覚えている。
そんな環境で、母はストレスが溜まるばかり。
当時はちゃぶ台をひっくり返したくなるほど、ハラワタが煮えくり帰っていたはずだ。
でも、母誰も誰も攻撃せず、父との離婚も望まず、祖父母との別居だけを望んだ。
私たち姉妹も、悲しむ母を見るのが嫌だった。貧乏でも良いから、母が笑って生活できるようにと、父に何度も祖父母との別居を懇願した。
しかし父は、興奮している私達の話を黙って聞いている。そして、喋り尽くしたのを確認する。考えを巡らせてるような雰囲気で、しばらく黙っている。その後「自分は長男だから親を捨てるわけにはいかない。すまないが、一緒にここにいてくれ」と話す。そして、ゆっくり静かに頭を下げる。
その言葉と態度に腹を立て、私達の気持ちを理解する気のない父に腹立たしい気持ちで、泣きじゃくりながら父を攻め続ける。
子供に父が責められている様子を見て、母は「私が我慢します」と、なり、話はend、
こんな事が何度も、繰り返された。
最近、母が時々父にいらだっているのを見かける。我慢しできた事をふと思い出し、その時代にタイムスリップして、父に腹が立つのだろう。
しかし、直接文句を言うのではなく、イライラした雰囲気で、鍋を力一杯洗ったり、お風呂を磨いたりする。
当時、泣きながら家事をしている母の背中を思い出してしまう。
父は気づいていない。引き金を引いていることを。
だから、何度も引き金を引いて、母を怒りの感情で一杯にしてしまう。
80歳を、超えた父に注意しても全く変わらない。多分変われない。変わる事は難しい。
反対に、余計な事を言われ、昔に戻って怒っている母を咎めるのもおかしい。
私たち娘がいない時の方が起こりやすい。そんな時は、父からLINEでSOSを送ってもらう事にしている。そして直ぐに私から電話をする。しばらく話すと、怒っている事を忘れてくれる。
認知症になると、どこかの時代に戻ってしまうとよく聞く。出来れば幸せな時代に戻って欲しいのに、辛かった時代に戻ってしまう母。
とっても切ない。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
今日が一番若い。
今日できる事は明日に回さない。
継続は力なり
生きてるだけで丸儲け
私のモットーです。