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いつか迎える死のための(29)-必ずより困難な道を選ぶ-

5月4日(月)ゴールデンウィーク。昨日までの夏日から雨になり、今日は昼過ぎまでどんよりとした空がつづいていた。

この連休に入って、世間とますます隔離されたように思える。オンラインのミーティングはないし、仕事のメールも来ない。すっかり静かな日を数日重ねている。

身体にささったナイフを自分で引き抜くようにしてから1週間がたって、その出血の多さに自分で対処ができそうもなく、結局応急処置のようにもう一度そのナイフを自分に入れようか、別の方法が取れるのかと悩んで時間がすぎていった。

結局、自分の弱さと向かい合うことでしか、解決ができなかった。

後ろに広がっていた野原は暖かく穏やかで、時折嵐になったことがあっても、そこには変わらない風景がまた戻っていた。

でも、どうしてもそこに留まることができなかった。

そして目の前には、荒れた道しかなく、そしてその先はまだ霧に包まれている。見えないその先に希望を持って、ここを出る。一人で。たぶん一人で。

私はときどきまた、この穏やかな愛に包まれた野を思い出し、振り返り、戻りたいと思うのだろうか。そうあってはならないと、今歯を食いしばって思う。

何かを選ぶ必要がある際には、見えるものではなく目に見えないものを。手に取れるものではなく、そこに形のないものを選ぶ。

心が動くほうへ。

抜いたナイフの傷がまだ癒えないうちに。


日本の感染者数 15,192名。 死者 542名。


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