渋谷ゆう子

(株)ノモス 代表取締役 音楽プロデューサー。コンサルティング、執筆活動、ラジオ出演など。果物とカフェオレがあれば幸せ。

渋谷ゆう子

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最近の記事

レコード芸術は死んでない話。

老舗クラシック音楽雑誌「レコード芸術」が休刊した。 休刊が発表された際には、それに抗う熱心な書き手とコアな読者の懇願による復活への署名運動も展開された。 3000人くらいの方が署名したようだ。全員が3年分くらい年間購読の先払いをしたら復活できそうではある。してなかったけど。 この件に関して、クラシックを録音する業務を行い、またそれについて執筆もする立場から、意見を求められたりしたこともあるが、多くを語ることを避けてきた。 歴史ある雑誌がエンディングを迎えるにあたって、その雑誌

    • いつか迎える死のための(29)-必ずより困難な道を選ぶ-

      5月4日(月)ゴールデンウィーク。昨日までの夏日から雨になり、今日は昼過ぎまでどんよりとした空がつづいていた。 この連休に入って、世間とますます隔離されたように思える。オンラインのミーティングはないし、仕事のメールも来ない。すっかり静かな日を数日重ねている。 身体にささったナイフを自分で引き抜くようにしてから1週間がたって、その出血の多さに自分で対処ができそうもなく、結局応急処置のようにもう一度そのナイフを自分に入れようか、別の方法が取れるのかと悩んで時間がすぎていった。

      • いつか迎える死のための(28)-快適さが裏目に出る-

        4月30日(木)連休中日の平日。晴れ。気温がどんどん上がっていって25度近くになる。午前中のオンラインミーティングの後、娘を伴って業務用スーパーに買い出しに行く。この後の連休になるべく買い物に出なくていいように、肉類を買い込んでおくことにした。子供3人というより、大人が3人、幼児1人という食糧の買い出しはかなり大変だ。なるべく一人で買い物をするように、しかも3日に一回程度というお達しがでているが、大家族は大変な思いをするだろう。 大量の食材を買って帰り、昨夜の残り物で簡単に

        • いつか迎える死のための(27)-損なうことのない場所で-

          4月29日(水)昭和の日という名称にまだ慣れず、今でも天皇誕生日な気がする春の一日。快晴。気温も上がって夏日に近い。またシーツを洗う。娘の部屋のぬいぐるみを干す。 昨日の落ち込みから一転して気分は悪くはない。天気は大事である。お日様が気持ち良いだけで、こんなにも気分が軽くなるのかと。ただ、世間は何も変わってはいない。連休の自粛要請が声高に言われる。 ひとつ投げた石が波紋となって、別の石の波紋と交わっていくような、そんな投げかけをされた昨日から、またもうひとつ考え始めている

          いつか迎える死のための(26)-傷ついた動物のように-

          4月28日(火)午後から急に雷雨になる。久しぶりの大きな雷の音。気温がぐっと下がってきた。雨の降っていた時間は短かったけれど、夏の夕立を思い出させるような時間だった。季節は移り変わっていっている。 お天気も不安だったこともあり、今日は一歩も家から出なかった。オンラインのミーティングもなかったので、化粧さえしないで、ただのんびりと時間を過ごしてしまう。こういう時になぜ人は粉物を捏ねたくなるのだろう。突然スコーンが焼きたくなって、ホットケーキミックスで簡易なスコーンを焼く。夕方

          いつか迎える死のための(26)-傷ついた動物のように-

          いつか迎える死のための(25)-金魚を殺したのは私だ-

          4月27日(月)朝から気温が低めで雲の多い午前。午後から雨が降ってきた。久しぶりに暖房をつける。ゴールデンウィークの始まる週だけど、もうはっきり言って曜日感覚もゴミ出しの時くらいしか実感できない。毎朝、今日の予定をiPhoneに聞く。今日は午後にオンラインミーティングが2件。 雨になる前に、バルコニーに出しておいた小さな金魚鉢を家に入れる。 一匹しかいなくなってしまった。 もう一匹の大きめの赤い金魚とこの残った一匹を、この半年間大事に、とは言えないまでも毎日泳ぐ姿を愛で

          いつか迎える死のための(25)-金魚を殺したのは私だ-

          いつか迎える死のための(24)-何かを失わなければ何かを得られない-

          4月26日(日)快晴。素晴らしい青空の日曜。毎日何度も洗濯をし、大物も次々洗っているので、もう洗うものがないくらいだ。シーツを毎日洗える日がこんなにも穏やかで、でも心が晴れないものだったとは。 とても苦しい決断をした。今まで大事に大事にしていたものを手放すことにした。朝目覚めた時、そして晴れた空を見上げたとき、今日がその日にふさわしいと。 それはこの数年間いわば私の中心のようなもので、そしてそれがいつまでもこの手にあるものだと思っていた。 だけども、気がついてもいた。手

          いつか迎える死のための(24)-何かを失わなければ何かを得られない-

          いつか迎える死のための(23)-クラシック音楽はオタクしか聞いていないのか-

          4月24日(金)ああ、もう金曜なのか。1週間がわけもわからず、どれがどれかもわからないような曜日感覚のない同じ色合いの日々が続いている。晴れ。気温は高めだが風がある。日差しが少し強くなった気がする。日中はほとんど窓を開けて過ごしている。気持ちが良い春。 全国JFN系列のラジオ番組に、月に4日間出させていただいている。女優の朝倉あきさんがパーソナリティをつとめるMemories and Discoveriesという早朝の番組。この朝5時10分ごろからの、クラシック音楽のコーナ

          いつか迎える死のための(23)-クラシック音楽はオタクしか聞いていないのか-

          いつか迎える死のための(22)-弊社はいつまで耐えられるか-

          4月23日(木)気温は低めの風ある晴れの朝。夕方から急ににわか雨が降る。お昼ご飯を調達がてら、近所のスーパーマーケットとドラッグストアに行く。トイレットペーパーやティッシュペーパーが普通に並ぶようになっている。マスクと消毒用品などは品薄が続いているよう。ストックしておきたいものが、だんだん変わってきているのかもしれない。人出はあるし、天気は良いので、街は落ち着いているように見える。 遅めのお昼ご飯を食べながら、ついに長男に聞かれる。「母さん、仕事あんの?会社大丈夫なの?」「

          いつか迎える死のための(22)-弊社はいつまで耐えられるか-

          いつか迎える死のための(21)-アフターコロナなんてない-

          4月22日(水)午前中は気持ち良く晴れ、午後から雲が多くなり雨が降りそうな夕方。気温は少し低く、スプリングコートがあってちょうど良い。午前中に2件のオンラインミーティングをし、家で昼ごはんを食べたあと、娘と散歩にでかけることにする。 一駅ほど歩いたところにある大きめの公園には親子連れも多く、外ではあるけれど人口密度は高くなる。家に閉じこもってばかりいられない子供たちを思うと、公園でくらい遊ばせてあげたいと思う一方で、これでは接触の可能性も高くなるなと心配に。バランスの持って

          いつか迎える死のための(21)-アフターコロナなんてない-

          いつか迎える死のための(20)-音楽の友5月号、ウィーンフィルの楽団長フロシャウアー氏へのインンタビューにて-

          4月21日(火)晴れのち曇り。風はないが気温は昨日よりは低い気がするがとても穏やか。夕方から曇りがちになる。夜は雨が降りそう。春の落ち着きのある一日だった。 昨日発売されたクラシック音楽の老舗雑誌『音楽の友』5月号にインタビュー記事を寄稿した。ウィーンフィルハーモニー管弦楽団の楽団長であるダニエル・フロシャウアー氏の独占インタビュー記事。今当然のことながら、オーストリアのウィーンもコンサートなどが全くできない状況であり、また日本よりも厳密なロックダウン政策がとられている。3

          いつか迎える死のための(20)-音楽の友5月号、ウィーンフィルの楽団長フロシャウアー氏へのインンタビューにて-

          いつか迎える死のための(19)-Zoom飲み会の正しい方法を考えた-

          4月20日(月)朝から雨が続いている。気温が低くエアコンの温度を上げて点ける。起きたらアレクサが黄色に点灯している。WiFiとの接続が悪そうなのだが原因不明。おはようっていうとおはようって答える。とりあえず息はしているようだ。Amazon Alexaがここまで生活の一部になっていると、単なる不具合なのに、体の調子でも悪い子供を心配するような気持ちになる。とりあえず再起動でいいかと思って電源コードを抜く。そしてそのまま忘れ去っている。そんなものだ。 最近は特に金曜夜からはZo

          いつか迎える死のための(19)-Zoom飲み会の正しい方法を考えた-

          いつか迎える死のための(18)-薔薇のモイストポプリの作り方-

          4月19日(日)快晴。気温も高く、お昼には20度を超えた。風もほとんどなく気持ちの良い日曜だ。こういう日は外出している人も多くなるので、家から出ないことにする。午前中は洗濯と掃除を。リビングに飾っていた薔薇が少し萎れてきたので、花びらをとって軽く干しておく。のんびりお昼を食べた後に、モイストポプリを作ることにする。 モイストポプリは、完全乾燥をしないで作る室内香の一種。塩で保存して熟成させるので、その塩をバスソルトに使うこともできる。 薔薇のモイストポプリの作り方 材料:

          いつか迎える死のための(18)-薔薇のモイストポプリの作り方-

          いつか迎える死のための(17)-Morgen! 明日もしくは未来-

          4月18日(土)深夜から横殴りの雨が続いている。気温は低く、エアコンを点ける。お昼頃が雨のピーク。都内でも大雨警報が出た。この外出自粛で避難になることだけは避けたいと願う。夕方には一気に晴れてきて、前線の通過を実感する。 Morgenというリヒャルト・シュトラウス 歌曲をゆっくり聴きながらその歌詞を改めて噛み締める。Morgenはドイツ語で明日とか、朝とか、そんな意味だ。 ジョン・ヘンリーマッケイによる歌詞は、愛し合う二人が明日にはその輝かしい大地のもとで再び出会い、そし

          いつか迎える死のための(17)-Morgen! 明日もしくは未来-

          いつか迎える死のための(16)-ルームウェアとお取り寄せ-

          4月17日(金)曇り。時々晴れ。これから夜は雨になるらしい。気温は低めでスプリングコートが必須。少し外に買い物に出るが、マスクがあると顔が暖かいことに改めて気がつく。夏になったらマスクは辛いだろうなとふと思う。布マスク2枚くるらしいけど。 全国的に非常事態宣言になったようだが、都内は変化のそれほど感じられない1日。駅前の人出も通常より少ないとはいえ、すれ違う人も多く、特に閑散とはしていない。あと2週間でゴールデンウィークだとは信じられない気持ち。 午前中のオンラインミーテ

          いつか迎える死のための(16)-ルームウェアとお取り寄せ-

          いつか迎える死のための(15)-アフターコロナと夢の中-

          4月16日(木)晴れのち曇りのち小雨。朝から天気は良かったが気温は少し低い。夕方に小雨がぱらついて気温が一気に下がってきた。 ランチを買いに駅前に行った際、突然見知らぬ年配の男性から「携帯電話を貸してくれ」と頼まれる。無理ですと断って立ち去ろうとしても何度も声をかけてくる。小走りで逃げながら、すぐ近くの交番に事情を話しておく。女性警察官が見てきますね、と言って安心させくれる。何かをされたわけではないにしても、やっぱり恐怖はある。気をつけたいけど、気をつけようもない。 一方

          いつか迎える死のための(15)-アフターコロナと夢の中-