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「豊かな経験をして育った子どもほどキレにくい」!?怒りっぽい人が感情をコントロールできない脳科学的理由 


怒りっぽい人とそうでない人の違いは何なのか。

脳科学者の茂木健一郎さんは
「怒りという感情は脳の前頭前野という部位で処理される。怒りを抑えられる人は脳が発達していると言える」

という――。

 

■人は「怒る」のではなく「怒らされている」

何かに対して怒りが湧いたときに、果たして怒っているのは「自分」なのだろうか?

妙な質問に思われるかもしれないが、「怒り」および感情全般を脳科学的に考えたときに、本質はこの質問に集約されていると言ってもいい。例えば、お腹が空いてご飯を食べるのは自分だ。体重を気にしているが、デザートにケーキを食べてしまうのも自分だ。しかし、そんな自分に対して込み上げてくる怒りは、どこから発するのだろうか。

怒りを例えて言うなら、「お腹が痛い」という現象に近い。お腹が痛くて薬を飲むのは自分の意志だが、お腹が痛いのは自分ではどうにもならない。それと同じように、怒りも「怒ろう」と思って発生するものではない。自分が怒るというよりも、自分の中の別のものに「怒らされている」という感覚でいるとわかりやすい。

そういう意味では、感情は極めて無意識の領域に近いところに存在し、無意識の消息を伝えてくれるものでもある。

■感情のメカニズムを知ることは良好な人間関係につながる

近年、この感情をいかにコントロールするかが重要なテーマになっている。ポジティブな感情に満たされているときならいいが、ネガティブな感情に支配されているときは、パフォーマンスにも悪影響が出る。普段やっている簡単な作業をしくじったり、大切なところで判断ミスをしたりして、さらなる感情の悪ループに陥ることも珍しくない。

当然、人間関係においても感情の置き所は重要だ。怒っているときに勢いまかせで言った言葉に、「なんであんなこと言っちゃったんだろう……」と後悔した経験は誰にでもあるだろう。そうした負の感情やストレスと上手に付き合っていくために、昨今ではアンガーマネジメントが随分と話題になっている。

なんのために感情が生まれるのか、どのように生まれるのか。

あの人はいつも穏やかなのに、なぜ自分はこんなにも怒りっぽいのか。

感情というメカニズムを俯瞰して眺めることで、それをコントロールするための重要なヒントを見つけられるかもしれない。

そこでここでは、立ち返って、そもそも感情とは何なのかを考えてみたい。

■「怒り」や「恐怖」は人間が生き残るための脳の生存戦略

「生まれて初めて息を吸ってから、人生最後の吐息の瞬間まで、あなたの脳はたったひとつの問いに応えようとしている。それは『今、どうすればいい?』という問いだ」

これは、「2021年1番売れた本」として話題となったアンデシュ・ハンセン著『スマホ脳』(久山葉子訳、新潮新書)の一節だ。同書では、人がなぜ感情を抱くのか、そのメカニズムを進化論的に極めてわかりやすく説明している。

その昔、人はさまざまな脅威に晒されていた。自分たちを襲う野生の肉食動物たちに狙われながら、餓死しないよう食べ物を探して集団で絶えず移動しながら生活をしていた。もちろん、安全を脅かすものは肉食動物だけではない。天候や自然災害、伝染病などの多様なリスクに晒されながら、常に「どのようにして生き延びるか」を最優先して生きてきた。

そのような環境では、「恐怖」「ストレス」「怒り」といったネガティブな感情が大いに役に立った。草むらに隠れたライオンを目にしたときに感じる「恐怖」という感情があるからこそ、危険を察知することができ、身体が逃げることを選択できるのだ。

写真=iStock.com/WLDavies


つまり感情とは、単なる「現状の感想」ではなく、危険を回避するためのツールの一つだった。生きるために「今、どうすればいい?」という問いに応えるべく、脳が構築した戦略装置だったのだ。

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