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家族が増えた。保護犬を迎えて変わったこと。

私たち家族が保護犬を迎えるまで 

昨年9月、我が家に新しい家族がやってきた。私たち家族は保護犬を迎えることにしたのだ。そのきっかけは、私が留学したことだった。
 留学の目的は、動物保護施設で働くことだった。そこで働いているうちに、日本で殺処分されている犬や猫たちの数の多さに驚いた。留学先のカナダでは日本よりはまだ制度が進んでいて、立派な保護施設が地域ごとにあった。そして、日本の保護犬に興味を持つようになった。調べてみると、家の近くに「保護犬カフェ」というものがあることが分かった。日本に帰国してすぐ、私はそこへ行ってみることにした。
 そこには10頭ほどの犬や猫がいた。あまり大きくはない場所で、たくさんの人がいるというわけでもなかった。カフェは1ドリンク制で、犬たちと触れ合うことができる。ほかにも、犬のグッズやおやつ、洋服などが売られていて、それらの収益は保護活動に充てられるという。そこにいる犬たちは皆どこかから保護された子たちで、主に繁殖引退犬が多かった。繫殖犬とは、ペットショップなどで子犬を売るために子どもを産ませられる犬たちのことで、繫殖引退犬とはは、高齢になり、子どもが産めなくなってしまって見捨てられてしまった子たちのことである。そんな残酷なことをやっている人たちがブリーダーにいると考えただけでも私は身震いした。それまで人に触られてこなかったのか、あるいは人に嫌なことばかりをされていたのか。人懐っこい犬は限られていた。劣悪な環境で育てられていた子は歯がなかったり、体が汚かったりする。また、病気を持っているがために若くして保護される子もいる。カフェでこのような事情を知った私からは怒りが込み上げてきた。「そんな無責任な人に命を扱ってほしくない」私の中の正義がそう叫んだ。そして、保護犬を引き取ることを決めたのだ。しかし、我が家にはすでに1匹犬がいた。まずは先住犬を幸せにしてあげなければならない。そういった事情から、実際に引き取るまでには至っていなかった。

この子を幸せにする。「信念のある一目ぼれ」


 ある日、カフェの情報を見ていると、新しく保護された子のなかに、先住犬そっくりの子がいた。「この子しかいない!」私はそう強く思ってすぐにカフェに向かった。カフェで先住犬との相性や自宅の環境を見てもらい、無事、審査に通った。そして、その子は新しく我が家の一員となったのだ。先住犬の「ゆめ」にちなんで「ひめ」と名付けた。最初はびくびくしていただけだったひめもだんだん家族に慣れてきて、素の顔を見せるようになった。私にはそれがとてもうれしかった。

1年が経った今では、先住犬に負けじとおやつを争い、一緒に遊んで走り回っている。そして、私たち家族に甘え、抱っこをせがんでくる。歯が4本しかなく、足の筋肉が弱って歩くことが精いっぱいだったことを考えると、とても感慨深いものがある。
 彼女のこれからの人生を楽しいことでいっぱいにしてあげたい。つらかったこと、悲しかったこと、すべてに上書きしてあげたい。そう強く思った。

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