毎日400字小説「夜のランニング」
スッスッ、ハッハツ。短く鋭く、呼吸をする。スッスッ、ハッハツ。一定のリズムで腕を振り、地面を蹴る。急ぐ必要はない。ペースを守る。無灯火の自転車が追い抜いてゆき、前方のコンビニから、男女のカップルが出てくるのが見える。カップルは酔っているような大声でしゃべりながら、大きく歩道を使う。スッスッ、ハッハッ。二人にぶつからないよう、守はぎりぎり車道側に寄って、その横をすり抜ける。「テンちゃん邪魔じゃーん」背中で女のほうの声。守は顎を引いて、足を動かす。二人の笑い声は、どんどん離れて