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安保法成立から考える日本の集団心理の変化と組織のありかた

ここ数か月、安保関連法案のニュースでもちきりですが、
皆様はどのように見てらっしゃいますでしょうか。

法案の是非についてここで申し上げるつもりはないのですが、組織開発という観点から、考えさせられたことを書いてみたいと思います。

会社であれ、国であれ、集団を考える時に、たとえメンバー構成は同じで変化がないように見えたとしても、常にその内部にいる各個人の意識は動いており、その意味で組織は変わり続けていると言えます。

個人が集団の意識に影響を与えることも確かですし、一方で、帰属している集団がそのメンバーに影響をもたらすということもあります。

たとえば私が公務員として働いているならば、公務員らしい考え方の影響を受けますし、違う国で生まれれば、その国の集団意識に影響を受け、その国民らしく考えるようになるものです。

それと同じように、日本という国が脅威にさらされている、あるいは脅威にさらされていると感じるのならば、それに応じた行動、たいていは防衛的な行動に出るのではないでしょうか。

実際に日本より戦争や貧困などが身近にある国では自分の身を守ろうという行動や考え方が国民の中にも目立つように思います。

日本がこれまでと異なる、防衛的な選択をし始めているというのはなぜでしょうか。

それは国内外から様々な影響を受け、日本という国の集団意識が変化してきていることと密接に関連していると言えるかもしれません。

私は、今回の一連の動きをみながら、このような組織全体の意識の変化が気になっています。

何か危機感を感じること自体は、いい、悪いと言うことではありませんが、  それをきっかけに、防衛的な行動や意識が集団を支配していくのならば、  それは好ましい未来があるようには思いません。

このことは、国という大きな単位ではなく、会社やチームなど、もう少し小さい単位で考えてみると実感しやすいのではないでしょうか。

システムコーチングに入った会社やチームに、「望ましい組織風土はどういうものか?」

と聞くことがあるのですが、その場合、多くは「皆がモチベーション高く、自発的にチャレンジし、結果にコミットする」

というような返答が返ってきます。

この種の答えはどの組織にもわりと共通する部分なのだと思います。

では、そのような状態はどうすれば実現できるのでしょうか。

こう問うた時に、そのことを本当にじっくりと掘り下げて考えてみたことは意外とないことに気づくかもしれません。

一般的には組織がある程度の安全とやりがいのもとで運営されていれば、組織には革新性を求める行動、好奇心を追及する行動、存在意義をかけようというような勇気ある発言や行動といったものが見られるようになります。

会社内で思い切って、新しい事業アイデアや、提案が出てくるとき、あるいは高い目標にチャレンジできるとき、組織には、メンバーに対する相互信頼があります。

自分は期待や尊重されている、安心して組織に居場所があるという実感がないと、このような行動は難しいものです。

私自身を振り返ってもそうです。

私が過去に積極的に動けた時は、自分が一定の信頼を得ているという感覚を持つことができ、自分がやることを組織のメンバーが許容してくれるという信頼感がありました。

よいチームにはお互いを認めて、違いを生かし合う雰囲気があります。

反対に、うまくいっていない組織には、大きく2つのパターンが見られることが多いです。

一つは、相互信頼がないことによる一体感の欠如であり、もう一つは異論が出ず、どこか無理のある合意ばかり続いているというものです。

このどちらにも、力学としては同じものが働いているように思います。

それは、チーム内の誰かだったり他部門、あるいは、チームの外にある顧客や競合を相容れない考えを持つものや敵だとみなすことです。

前者がチーム内の相互信頼の欠如につながりますし、後者は他の意見を認めないといった無理な一体感や停滞した空気につながります。

このような組織に、突出したよい結果が出ていることは多くなく、そこにいる個人をみると息苦しさを感じます。

自分のことを信じてくれて、最善の成果を期待してくれる人と一緒にいる時、人は自分の中に想像もしていなかった力を見出したり、予想もしなかった貢献方法を思いついたりするものです。

異なる考えを分断し、防衛的になるのではなく、包摂し、大きな一つの中の多様な意見としてともにありたいものです。もちろん簡単ではありませんが。

また来月もよろしくお願いします!

2015/9/28 VOL64                                                                                              sakaguchi yuto

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