第8回BBC読書会 若林正恭『社会人大学人見知り学部卒業見込』
2024年10月19日(土)第8回目となるBBC読書会を開催しました。
課題本はオードリー若林正恭さんの『社会人大学人見知り学部卒業見込』です。今まで読書会で扱った本の中では一番ベストセラーと言われる本、そして初のタレントエッセイ本です。
参加者は店主含め6名でした。
本のざっくりした内容……雑誌『ダ・ヴィンチ』読者支持第一位となったオードリー若林の「社会人」シリーズ、完全版となって文庫化! 彼が抱える社会との違和感、自意識との戦いの行方は……?(出版社による紹介文)
読む前の印象
参加者はオードリーのファンといういわゆる「リトルトゥース」な人や「学生時代に読んで泣きたいくらい共感した大好きな本だから参加した」という人もいればテレビでなんとなく見て知ってるくらいのぼんやり層、こんなきっかけがなければ手に取らないような本だったという人もいました。
若林さんのパーソナリティについてもラジオやテレビを通してよく知っているという方からよく知らなかったという人もいました。
印象に残ったところ
一番印象に残ったところ、面白かったところについて共有しました。
「放送作家志望のT君のエピソードが印象的だった。T君が"もしかしたらそうなっていたかもしれない”若林さんのifサイドのように思えた」
T君のエピソードは複数の人が印象的なところとして話題に挙げました。
この本一冊を通して伝わってくるメッセージに絡んでくる要素かもしれません。
また、「牡蠣のエピソードが印象的」と挙がりました。この章は現代文のテストに出そう、中国の故事みたい、と例えられるくらいよくできていると盛り上がりました。
「テレビ番組の企画で牡蠣をとったという話しがなんのために存在しているのかという哲学的な話題につながっていく。表現者としての悩みを乗り越えて達観した境地に至っている」と、この章を挙げてくれた人がまとめてくれました。
エクレアのエピソードも盛り上がりました。
なぜ一度エクレアを握りつぶして投げたのかという疑問についてやりきれなさや衝動が破壊的な行動としてあらわれたのではという分析がされました。その後そのエクレアを「食べる」ことによって「大丈夫と言ってほしかった」という感情を咀嚼し取り込むことができたのではないかという読み解きがあり、この細かい一瞬の描写がすごいと改めて気づくことができました。
さらにそこから「大丈夫だと言うことに責任を負う」と決意した若林さんの成長に感動したとまとめがありました。
その他には
「春日の夢日記が50年後の死しか書かれなかったところが面白かった」
「春日の章がオードリーファンとしては胸熱」
とほとんど言及されない相方春日さんについての話しも出ました。
大人の成長記録
参加者のみなさんから聞かれたのがこの本では自意識過剰で人見知りな大人が成長していく姿をつぶさにありのままに記録されているという意見です。
本の中でも最初のほうで書いたことを後になってから撤回している(趣味についてなど)点に成長を感じたという人が多かったようです。間違いを認めたり、自分との違いを認めてそれを素直に肯定したり評価できる若林さんは柔軟で純粋な人だという意見が聞かれました。
また、人が10代20代に体験するような思春期的な悩みを30代で経験しているから大人の言語化ができていると言う人もいました。悩むことの大切さやちゃんと思春期や中二病を経験することの大切さを実感した人も多かったようです。
その他盛り上がった話題
お笑い芸人の本ということで笑いや表現についての話題にも波及しました。
「笑いには中毒性がある」と書かれている箇所について共感できる、たしかにそう思うという意見がある一方でそれに危険性を感じるという人もいました。
孤独だったり人間不信だからこそ笑いという信用できるものに依存して過激な笑いに走ってしまう危険性もある、ポジティブな面もネガティブな面もあるという意見がでました。
若林さんに共感できるという意見も多かったです。特に文化祭で盛り上がっている人を斜に構えて見てしまったりなんの意味があるんだと思ってしまうことに共感できるという人が多かったようです。むしろ読書会に参加したりこの本が好きという人は文化祭に馴染めなかったタイプなのでは?!という結論に至りました笑。
と、このように意外にもいろいろな話題がでて盛り上がった読書会となりました。
タレントエッセイでここまで盛り上がるとは思いませんでした。内容の濃さのおかげでしょうか。
また、普段だったら読まないジャンルと出会えて深く味わえるのも読書会ならではだなと改めて実感しました。
次回の読書会
一通り話し終わった後、次回の予定についても決まりました。
12月開催の読書会課題本は『目の見えない白鳥さんとアートを見に行く』に決まりました。
次回の読書会は2ヶ月分決定しております。
課題本:『百年の孤独』(ガルシア・マルケス)
日時:11/30(土)
課題本:『目の見えない白鳥さんとアートを見にいく』(川内有緒)
日時:12/21(土)
どちらも19時からゆとぴやぶっくす店内での開催となります。
参加費は税込み1,000円です。
課題本の注文、取り置きも承っております。
また、定員がすぐに埋まってしまうので参加希望者はお早めにご連絡ください。
次回の読書会への参加お申し込みは下記ページから
また、読書会延長戦の掲示板もあります。語り足りないという人、読んだけど参加できなかった人などはこちらから書き込みどうぞ。過去の課題本についての書き込みも歓迎です。
※有料メンバーシップ内掲示板となります