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人格と教育心理学のまとめ

人格とは、知能、思考から感情、性格まで、人の心のすべての側面を統合したものをいいますその人格を捉える方法は、類型論特性論の2つに大別されます。類型論は複数のカテゴリーを想定し、人の性格を分類する方法であります。例えば、血液型による性格診断がこれに当たります。特性論とは性格をいくつかの要素に分け、その要素がどの程度備わっているかという側面から性格をとらえる考え方です。それぞれについて説明します。

人格をとらえる方法

類型論

クレッチマー
クレッチマー
は、発病前の性格と体格の関連性に注目をしました。

②シェルドン
シェルドン
は気質と体格の関係性に注目をしました。

③ユング
ユング
心的エネルギー(リビドー)の向かう方向に注目しました。
リビドーが個人の外に向かう場合は外向型といい、環境の影響を受けやすく、表現がうまく、社交的だろ言われます。逆に、内へ向かい場合は内向型といい、内省的で、行動が控えめだと言われます。

特性論

オルポート
オルポートは人の特性を「共通特性」とその個人が持つ「個人的特性」で分けました。オルポートは、「共通特性」を使って、他者との比較をしました。また、個人のパーソナリティの特徴を「心誌」(サイコグラフ:心的プロフィール、個人の特徴を一目瞭然に理解できるように視覚化したもの)を用いて示しました。

②アイゼンク

 アイゼンクは、人の類型は、特性から形成されると考え、類型論と特性論の統合を目指しました。性格特性を、4つの水準の階層で捉えて定めています。下位の階層から順番に記します。

 階層1 -「個別的(特殊)反応水準」
 階層2 -「習慣反応水準」
 階層3 -「特性水準」
 階層4 -「類型水準」

 また、因子分析によって、性格に3つの次元「内向-外向」、「神経症傾向」、「精神病的傾向」があることを示しました。アイゼンクの考案した「モーズレイ人格目録- MPI」は、「内向・外向」と「神経症傾向」の2次元からなる性格検査です。これら次元は、「内向- 外向は、大脳皮質の興奮のしやすさ」、「神経症傾向は、自律神経の安定性」という神経学的な特徴を示していると考えられています。

③キャッテル
キャッテル
は、人の特性を定量化可能な「共通特性」と質的特性である「独自特性」に分類しました。 さらに、この2者に基づいた状況的で、観察可能な「表面的特性」と観察不能な要因である「根源的特性」から性格を理解しようと試みました。
パーソナリティは、根源特性による16軸の両極性をもった獲得性尺度における程度を示すプロフィールとして描かれ、 この根源特性を基に「16PF:16パーソナリティ因子質問紙」という性格検査が作成されました。

ビックファイブ理論 :
人の特性を5つの基本特性次元に分類したものです。

人格の検査方法

ここでは、人間の人格をどのようにして測定するのかについて説明します。就職試験で行う面接も、人格の検査の一種です。これを含めて書いていきます。人格の検査は、大きく分けると、質問紙法、作業検査法、投影法に分かれます。

(1)質問紙法

質問項目に被検者が答え、回答結果を点数化する事によりパーソナリティを捉える検査法です。検査の施行と結果の整理が簡単であるという利点がありますが、被検者の意識的側面しか捉えられない、意図的な回答の欺瞞に弱いという短所があります。

YG性格検査(矢田部ギルフォード性格検査)
性格を12の特性によってプロフィール(グラフ化)することにより視覚的に把握します。

MMPI(ミネソタ多面人格目録)
550の質問項目から成り,被験者は「はい」または「いいえ」で答えます。それにより,4つの妥当性尺度と 10の臨床尺度のそれぞれについて標準得点が計算され,プロフィールが描かれます。

MPI(モーズレイ性格検査)

特長 MPIは、つぎの二つの性格特性を同時に図ることを目的とした性格検査です。
(A)外向性 (extraversion)、内向性 (introversion)
(B)神経症的傾向 (neuroticism)
これらの特性を測るためにそれぞれ24項目ずつの質問が用意されているが、いずれも綿密な項目分析と因子分析の手続きによって選択されたものです。

(2)作業検査法

対象者に一定の作業を一定の条件のもとでさせ、その作業の実施態度や遂行結果から、対象者のパーソナリティを測定する方法です。1度の大勢の検査ができ、対象者の言語的能力に依存しない、回答を意図的に操作することができないというのがその長所ですが、パーソナリティの一部の特定の側面しか測定できないという欠点があります。代表例として、内田クレペリン検査があります。

(3)投影法

比較的あいまいな刺激を用いて、被験者に何らかの課題の達成を求める検査法です。あいまいな刺激に対しては、被検者の無意識が投映されるという仮定に基づいています。被検者の無意識的側面が把握できる、回答を意図的に操作する事が難しいという利点がある一方、被検者への心理的負担が大きい、検査結果の整理が煩雑である、検査の信頼性、妥当性に難点があるなどの欠点もあります。

ロールシャッハ・テスト
ロールシャッハが考案した検査法で、以下のような左右対称のしみが描かれた図版を非検査者に提示し、何に見えるのかを回答させます。

TAT(主題統覚検査)
以下のような特定の絵を提示し、そこから過去・現在・未来に関わる物語を自由に述べさせる検査で、マレーが作成しました。これによって具体的な欲求や葛藤などの探ることができるとされています。

P-Fスタディ

P-Fスタディローゼンツァイク,S.により開発された投影法検査です。
日常的によく経験するような欲求不満場面が描かれた24枚のカードに対する反応から、無意識的な攻撃性の型と方向を明らかにすることを目的としています。
つまり、フラストレーションを感じる場面でどのような反応を示しやすいかを確認し、現実的な対人場面における適応性・攻撃性を分析するための検査ということです。
カードには、2人の登場人物が描かれています。左側の人物の吹き出しには、右側の人物を欲求不満に陥れるような言葉が描かれています。
右側の人物の吹き出しは空白になっていて、被検査者にはそこに自由連想したせりふを書き込んでもらいます。

SCT(文章完成検査)
単語、または短い句に続けて自由に文章を作らせ、完成させる検査です。

ソンディ・テスト
ソンディが考案した検査法で、1組8枚の写真を6組用意し、最も好きな顔と嫌いな顔を選ばせます。

バウムテスト
A4サイズの白紙に「実のなる木」を自由に描かせ、その絵から人格検査を行うものです。

⑦HTPテスト
3枚の画用紙にそれぞれ「家・木・人」の絵を描くことでクライエントの人格や心的状態を把握する描画テストです。

(4)観察法、面接法

観察法:観察者が被験者を客観的に観察し、その行動、言動を記録していくものです。

面接法:「面接法」とは、面接者である研究者が、被面接者との間での言語的コミュニケーションにおいて表現された内容を、記述・分析する心理学研究法です。

対象者の自己表現を通し、情報を得る方法であることから、対象者の内的世界を把握するのに優れているという点が特徴として挙げられます。

このとき、被面接者と面接者の間で、ラポール(信頼関係)を形成しなければならない。

面接法は、その構造から、

「構造化面接法」「非構造化面接法」「半構造化面接法」

の3つに大別されます。

構造化面接法は、あらかじめ設定された仮説に沿って、事前に質問すべき項目を決めておき、仮説の妥当性を検証するためのデータを統計的に収集することを目的としています。

非構造化面接法は、質問項目を特に用意はせず、被面接者の反応に応じ、自由に方向づけを行います。多面的・多層的・全体的なデータを収集して、仮説を生成することを目的とした方法です。

半構造化面接法は、あらかじめ仮説を設定し、質問項目も決めておきますが、会話の流れに応じ、質問の変更や追加をおこない、自由な反応を引き出すものです。

(5)検査結果の利用

これまでに紹介した検査法はそれぞれ限界を持つので、組み合わせて使うことが多いです。これをテストバッテリーと言います。診断結果は、ある人の成長を目指したはたらきかけの方針を立てる上での根拠として用いることが大切だが、守秘義務が伴うことに注意しなければならない。また、被験者本人に結果をフィードバックし、自己理解や自己管理の資料として利用する場合がありますが、その方法によっては本人の自己評価を下げる要因になることに注意しなければならない。

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