数独を解く沈黙した羊たちはアンドロイドの夢をみる気もしてイルカ?

(おはなし)
「数独を解く沈黙した羊たちはアンドロイドの夢をみる気もしてイルカ?」

むかし、金平糖をこぼした男の子がいました。
道端で、袋に穴が開いていて、こぼれました。
穴は、野球をしていた間に、近くの水族館からお忍びでやってきた二頭のイルカがありんこに命じて開けさせたのでした。

常磐道を通る間、カモノハシは数独を解いていました。運転をする羊のピョートルは、その金平糖が散らばる中、飛び出してきた男の子の前で車をストップさせました。
「危ないぢゃないか!」
とピョートルが言いましたので、
男の子は、すみません、とも声が出ないような頭を下げて、目が驚いてました。

「まあまあ」とカモノハシはピョートルをなだめました。
そしてから、持っていた鉛筆をピョートルに渡しました。
「ここの数が分からない」
「何、これは車に戻って話そう」
そしてピョートルは車に戻って、カモノハシを連れて今度は新青梅街道を走りました。

「ところで何だね。先日の殺魚事件は犯人は見つかったのかね」
「いいや、まだだね。あれは新聞ではアンドロイドの犯行という噂だね」
カモノハシは数独を解きながら言いました。
「イルカへの復讐さ」

「何でまたイルカに復讐しようとなど思うのだろう。イルカは優しくて、賢くて、基本的に人に親切ぢゃないのかい?」
「どうだろう。あいつらアンドロイドの弾き出した答えの中にはイルカはありんこと悪巧みをするやつらもいるってこと、なんだとかさ」
「へえ」

「ああ、やっと分かったぞ、この数独が解けました」
「よかったな」
こうしてドライブインで休憩をしていた二頭は、コーヒーを飲みながら空に漂う雲を、それぞれ違うものを見ていました。
「アンドロイドはいいやつもいるらしい」
「そうだろう。魚を殺すばかりの者ぢゃ無いさ」
「ああ」

ラジオからブレンダ・リーの「ロッキン・アラウンド・ザ・クリスマス・ツリー」が流れてきました。
「そういえば兄さん、今日はクリスマスというものらしいよ」
近くのバンから出てきた少年のようなアンドロイドが、運転席の黒服のアンドロイドに話しかけていました。
「お墓参りにお花を買おう」

カモノハシはピョートルの車から降ろしてもらうと、鍋の野菜を選びました。キャベツとにんじんと、えのきと、もやしと、ニラを選びました。それで、しばらくの間、ピョートルが好きな木の枝を拾ってくるまでに、野菜を切ることにしました。
葉音の中で、車には金平糖の跡が付いていました。

いいなと思ったら応援しよう!