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「複雑介入(Complex Interventions)」および「混合研究法(Mixed Methods)」
以下では、「複雑介入(Complex Interventions)」および「混合研究法(Mixed Methods)」を軸としたアカデミックな内容を、ステップバイステップ形式でできるだけ詳細にまとめます。本文中に引用を挟みつつ、最後に参考文献をまとめています。全体像や論点を俯瞰しながら順を追って解説するため、分量はやや多めですが、研究・実践の検討に役立つよう意図しています。
ステップ・バイ・ステップ解説
STEP 1: 複雑介入の重要性の再確認
複雑介入(Complex Interventions)とは
複数の要素が相互に作用し、単純な手法ではその全容と因果関係を解明しにくい介入を指す。公衆衛生、教育、コミュニティ開発、心理療法など多岐にわたる分野で活用されている (Craig et al., 2008 [1])。
例として、健康増進プログラムでは「運動指導」「栄養指導」「ソーシャルサポート」「認知行動療法」など、複数の要素が組み合わさるため、単一要因だけでは介入の効果を評価しきれない。
複雑介入を正しく評価する必要性
社会問題の多くは単一要因に還元できないほど複雑性が高いため、包括的な視点で介入をデザインし、評価する重要性が高まっている (Davies et al., 2000 [2])。
たとえば、高齢者介護予防プログラムにおいては身体面だけでなく、心理面・社会面・経済面などが相互作用するため、多角的アプローチが必須となる。
STEP 2: 混合研究法(Mixed Methods)の概要
定義と特徴
混合研究法は量的研究と質的研究を意図的に組み合わせる方法論であり、それぞれの弱点を補い合いながら多面的な知見を得ることを目的とする (Creswell & Plano Clark, 2011 [3])。
「並行型(Concurrent)」「逐次型(Sequential)」など研究目的や研究資源によって設計を使い分けられる。
複雑介入と混合研究法の親和性
多要素が絡む介入を評価するとき、量的データ(数値的効果測定)だけでなく、質的データ(当事者の声、観察、インタビュー)を収集することで、介入の真のインパクトとプロセスをより深く把握できる (Fetters et al., 2013 [4])。
STEP 3: 研究の目的と背景設定
本稿で取り上げる主題
複雑介入や混合研究法が公衆衛生、教育、まちづくり、心理学など多領域にわたってどのように応用されているかを整理し、効果的な介入のポイントや長期的な視点を検討する。
加えて、被害者意識からの脱却や自己実現に向けた心理・行動介入の例を取り上げ、複雑介入として捉える意義を考察する。
先行研究との関連
イギリスのMedical Research Council(MRC)ガイドラインに代表されるように、国際的に複雑介入を体系的に評価する枠組みが進められている (Craig et al., 2008 [1])。
日本国内でも介護予防やDV加害者更生プログラム、子育て支援などで複雑介入の概念が導入されつつある (厚生労働省, 2019 [5])。
STEP 4: 理論的フレームワーク(プログラム理論等)の位置づけ
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