いまさら聞けないRAGってなぁに? ~ チャットボットを賢くする最新技術 ~
ChatGPTやClaudeといった生成AIサービスの登場で、AIとのコミュニケーションがぐっと身近になりました。
詩を創作したり、プログラムを書いたり、まるで人間のように自然な文章を生成してくれるAIに驚いた人も多いのではないでしょうか?
しかし、これらのAIは、事前に学習した膨大なデータをもとに回答を生成しているため、特定の分野の専門的な知識や最新情報に関しては、必ずしも得意ではありません。
例えば、あなたの会社の社内規定や、最新の研究論文の内容について質問しても、的確な回答を得るのは難しいでしょう。
そこで登場するのが「RAG」という技術。 RAGは、AIに外部のデータベースや文書から必要な情報を検索させ、その情報に基づいて回答を生成させることで、より的確で信頼性の高い情報を提供することを可能にします。
実は、RAGは特別なシステムを構築しなくても、ClaudeやGemini Advancedといった高性能な生成AIと、適切なプロンプト、そして参考資料を組み合わせることで、手軽に実現できるのです。
ChatGPTしか使ったことがない人は、この便利な方法を知らないかもしれません。
この記事では、そんなRAGの仕組みやメリット、ChatGPTやClaudeとの違い、そしてClaudeやGemini Advancedを使った簡易RAGの実装方法についてわかりやすく解説していきます。
AI技術の進化に興味がある方、チャットボットをもっと賢く活用したいと考えている方は必見です!
RAG(Retrieval Augmented Generation)の仕組み
RAGとは、Retrieval Augmented Generationの略で、日本語では「検索拡張生成」と呼ばれます。 簡単に言うと、外部のデータベースや文書から必要な情報を検索し、その情報に基づいてAIが文章を生成する技術です。
従来の生成AI、例えばChatGPTやClaudeは、巨大なデータセットを事前に学習することで、様々な質問に対して自然な文章で回答できる能力を備えています。
しかし、この学習データには限界があり、企業独自の内部資料や、日々更新されるニュース、学術論文などの最新情報は含まれていません。
RAGでは、質問を受けると、まず関連する情報を外部のデータベースから検索します。 そして、検索した情報を参照しながら、AIが回答を生成するのです。
これにより、特定の分野の専門知識や最新情報に基づいた、より的確で信頼性の高い回答を提供することが可能になります。
RAGとChatGPT、Claudeとの違い
RAGは、ChatGPTやClaudeといった一般的な生成AIサービスとは、以下の点で異なります。
情報源: ChatGPTやClaudeは、事前に学習した巨大なデータセットを情報源としていますが、RAGは外部のデータベースや文書を情報源としています。
回答の範囲: ChatGPTやClaudeは、一般的な知識に基づいた回答を生成しますが、RAGは特定の分野の専門知識や最新情報に基づいた回答を生成することができます。
信頼性: ChatGPTやClaudeは、必ずしも正確な情報を提供するとは限りませんが、RAGは信頼性の高い情報源から情報を検索することで、より正確な情報を提供することができます。
RAGのメリット
RAGには、以下のようなメリットがあります。
より的確で豊富な情報を提供できる:膨大なデータから必要な情報を瞬時に検索し、AIが理解しやすい形で提供することで、より的確で詳細な回答を生成することができます。
最新の情報に対応できる:常に最新の情報を検索して参照するため、データセットの更新頻度に左右されることなく、最新の情報に基づいた回答を提供できます。
質問の意図をより深く理解できる:文脈を理解し、質問の背後にある意図を汲み取った回答を生成することができます。
多様なタスクに対応できる:質問応答だけでなく、文章要約、翻訳、文章生成など、様々なタスクに応用することができます。
RAGの活用事例
RAGは、様々な分野で活用が期待されています。 具体的な事例をいくつかご紹介します。
カスタマーサポート:顧客からの質問に対して、FAQやマニュアルなどの膨大な情報の中から最適な回答を自動的に提示することができます。
教育: 生徒の質問に対して、教科書や参考書の内容を検索し、わかりやすく解説することができます。
医療: 医師の診断をサポートするために、最新の論文や症例データなどを検索し、診断の精度向上に役立てることができます。
企業内情報検索: 社内文書、規約、過去のプロジェクト資料などから、必要な情報を効率的に検索し、社員の業務効率化に貢献することができます。
あなたの仕事や生活で、RAGを活用できそうな場面はありますか?
ClaudeやGemini Advancedで簡易RAGを実装する方法
RAGは、必ずしも複雑なシステムを構築する必要はありません。
ClaudeやGemini Advancedといった高性能な生成AIであれば、参考資料を適切な形で提供し、プロンプトを工夫することで、簡易的なRAGを実現することができます。
例えば、ある製品のマニュアルについて質問したい場合、以下のような手順で簡易RAGを実装できます。
参考資料の準備: 製品マニュアルをテキストファイルなど、AIが読み込める形式に変換します。
プロンプトの作成: AIに、参考資料の内容に基づいて質問に答えるように指示するプロンプトを作成します。 例えば、「以下の資料を参考に、[質問]に答えてください。 [参考資料]」のように記述します。
AIへの入力: 作成したプロンプトと参考資料をAIに入力します。
Claude APIによる本格的なRAGの実装例
簡易RAGは手軽で便利な方法ですが、大量の資料を扱ったり、より高度な検索機能を必要とする場合は、本格的なRAGシステムを構築する必要があります。
先進的な生成AIサービスであるClaudeを提供するAnthropic社は、Claude APIを通じて本格的なRAGを簡単に実装できる環境を提供しています。
Anthropic Cookbookでは、具体的なコード例とともに、Claude APIを使ったRAGの実装方法が紹介されています。
例えば、社内文書をナレッジベースとして活用し、社員からの質問にClaudeが的確に回答するチャットボットを構築することができます。
コード例:
import anthropic
import os
client = anthropic.Anthropic(api_key=os.getenv("ANTHROPIC_API_KEY"))
def answer_query(query, context):
prompt = f"""
You have been tasked with helping us to answer the following query:
<query>
{query}
</query>
You have access to the following documents which are meant to provide context as you answer the query:
<documents>
{context}
</documents>
Please remain faithful to the underlying context, and only deviate from it if you are 100% sure that you know the answer already.
Answer the question now, and avoid providing preamble such as 'Here is the answer', etc
"""
response = client.messages.create(
model="claude-3-haiku-20240307",
max_tokens=2500,
messages=[{"role": "user", "content": prompt}],
temperature=0
)
return response.content[0].text
# ...(情報検索処理)...
# Claude APIを使って回答を生成
answer = answer_query(query, retrieved_context)
print(answer)
まとめ
RAGは、AIの能力を新たな段階へと引き上げる革新的な技術です。 膨大な情報を効率的に活用することで、より的確で信頼性の高い回答を提供することが可能になります。
ClaudeやGemini Advancedなどの高性能な生成AIを活用すれば、簡易RAGを手軽に実装することも、Claude APIなどを利用して本格的なRAGシステムを構築することも可能です。
RAGは、今後ますます多くの分野で活躍していくことが期待されまね。
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