たべたび。06:知られざるヒハツの葉を食べてみよう ~ヒハツの葉入りのじゅーしー&ヒハツの葉の天ぷら~
うがみんしょーらん(奄美)
はいさーい(沖縄)
南西諸島にようこそされたい(?)私です。
奄美も沖縄も大好き。いつからそっちで暮らそうか画策する日々(画策するだけだけど)。
日本の南部に位置する南西諸島は風土も独特、文化も独特。
そうなれば、本土で食べない食材というのがたくさんある。
私がこれらの島々に惹かれるのはその暖かな気候だけでなく、そのような珍しい食へもあるのだ。
そんな中で、今回は沖縄独特の香辛料を食していく。
ピパーツ? ピーヤシ? 魅惑の香辛料『ヒハツモドキ』
ヒハツモドキとは? となる人はきっとほとんどに違いない。
まずこの食材を沖縄以外では見かけない。奄美でも私は少なくとも
見かけたことはない。
と、その前にヒハツモドキについて簡単に説明しておこう。
ヒハツモドキは原産地が東南アジアで、長さ2~4mにもなる
つる性の低木だ。
熟すと赤く色づく細長い実を付け、これを乾燥させて粉状にし利用する。
別名としてジャワナガゴショウや、英名でロングペッパーとも
呼ばれたりする。
また、沖縄では単に『ヒハツ』として呼ばれることもあるが、
このヒハツという名は近縁種のインドナガゴショウのことを指す。
しばしばこの二つは混同されることもあるが、両者は特徴が
非常によく似ており、香辛料としての性質もほぼ同じなために
あまり区別をしなくても問題はないらしい。
確かに生産者や利用者としては、なんとなく『モドキ』と
名前に付けたくはない気がする。区別しなくても問題ないというなら、
なんだか偽物感のある『モドキ』を外して呼ぶのも
察しが付けられる。
なのでこの記事では今後、ヒハツモドキを『ヒハツ』として
表記していくことにする。
(単に書くのが面倒になったからなのはナイショ)
沖縄地域で主に生産されている香辛料で、
沖縄そばなどの沖縄料理にかけて食べるのが一般的だ。
沖縄での呼び方は『島コショウ』があるが、方言名もいくつもあり、
例えば八重山地方では『ぴぱーち』、
八重山の中でも竹富島では『ぴーやし』、
宮古島では『ぴぱーつ』など多岐にわたる。
ちなみに私が最初にこの香辛料に出会ったときは『ぴーやし』と呼ばれていた。これだけで私がどこに行ったかが特定されてしまう。
沖縄らしい香りはこのヒハツのおかげ。
実際これを自宅で作った料理に振りかけると
一気にらしくなるのである。
このようにまさにコショウのような粉状の香辛料として知られるヒハツなのだが、実をいうと他の部位も利用が沖縄でされている。
このことを知っている人は意外と少ないのではないだろうか?
ヒハツは実だけでなく、その葉も利用ができる作物なのだ。
ヒハツは葉も料理に使う
どうして知られていないのかと言われればそれも当然で、
沖縄の土産屋で売られているのは私が知る限り粉のヒハツしか
売られていない。
ネット上にはお店での購入の記録が見られるので、
葉が全く売っていないわけではないようだ。
だが何度か行った沖縄で立ち寄った街のスーパーなどでは
少なくとも私は見かけたことがない。
利用の仕方としては生の葉を刻んで、炊きあがったじゅーしー(沖縄の炊き込みご飯)の上に乗せて15分ほど蒸らすことで香りづけをしたり、
そのまま葉を天ぷらにしたりして食べるらしい。
後はサラダにしてもイケるのだとか。
……ふむ、食べられると聞いてしまうと食べてみたくなってしまう。
好奇心と食欲が私のお腹を刺激する。
どうにかして、食べられないものか。
しかし沖縄でないと手に入りにくい代物だし、
その沖縄に行ってもなかなか現物を手に入れにくそうだ。
どうしよう、どうしようかなぁ。
悩むほどでもなく頭の片隅で思案していて、しばらく。
フリマアプリで手に入れられちゃいました!
蓼食う虫も好き好きというか、欲するものは誰かが意外と
提供してくれていたりするものらしい。
ひとまず販売してくれた人に感謝!
じゃあこいつを使って、ヒハツの葉をいざ実食だ!
ヒハツ入りのじゅーしー
まずは沖縄料理の定番、じゅーしーをヒハツ入りで作ってみよう。
沖縄土産で買ってあったジューシーの素を使ってじゅーしーを
炊き上げる。
炊きあがりのいい香りが漂ってきて、お腹が減っちゃうからこのまま食べてしまおうかなと一瞬思ってしまったけれど、ちょっと我慢。
適量のヒハツを刻んで、
炊飯器の中へIN!
このまま15分ほど蒸らす。
聞くところによると、ヒハツの葉の香りは温かい状態よりも、
じゅーしーが冷めた状態の方がよく立つらしい。
だが、減ったお腹を抑えられない!
ちょっとだけ残しておいて、すぐにいただいてしまおう!
というわけで、お椀によそってじゅーしーの完成!
緑色のやつがヒハツだ。
立ち昇る湯気に鼻を近づけて嗅いでみると……なるほど少し、
じゅーしーの香りの中にヒハツの香りがあるのが分かる。
ヒハツを一緒にご飯を摘まみ、口に運んで咀嚼してみる。
……ふむ、葉をかじると、フワッと香る感じだ。
葉は意外にも硬さとか筋っぽさは無くて、あまり気にすることなく
具材の一つとして食べ進めることができる。
そしてやはり、沖縄料理にはヒハツの香りが似合う。
入れることで、より『らしさ』が増した。
まあ、私は現地の人が作ったじゅーしーを食べたことはないのだけど!
ちなみに翌日冷めたバージョンのじゅーしーを食べてみたのだが。
私的には香りの強さが増したとは思わなかった。
だがしいて言えば、冷めてもしっかり香っていたということだろうか。
ヒハツの葉の天ぷら
さて続いてはヒハツの葉の天ぷらだ。
イメージ的には大葉の天ぷらのような感じにすればいいだろうか。
葉に天ぷら粉を付けていく。
昔はよく天ぷらをする機会があり、その際にコツを教わったりしたのだけれど、私はあまり天ぷらを揚げる腕が上達した覚えがない。
どうしても油っぽい重たい天ぷらになりがちなのが少し悲しい。
粉をまとわせたものから順に揚げていく。
揚げ物は油がたくさん必要になるので、家でやるとどうしても処理に困る。
片付けを楽に済ませたいので、フライパンに熱めに油をひいて揚げ焼き風にして揚げていく。
ヒハツの葉自体が薄いのでこれでもあまり問題じゃないのが幸いだ。
たぶん火が通るのは早いので、良さそうに思ったら油から出していく。
そうしたらよく油を切って、お皿にいい感じに盛り付けて……
ヒハツの葉の天ぷらの完成だ!
盛ってみると結構見栄えがいい。まあ、盛り付けの仕方もあるだろうけど(自画自賛)。
じゃあお待ちかねの実食タイムだ。
軽く塩を付けて食べてみることにする。
……
……
なるほど、これは悪くないかもしれない。
齧るとパリッとした食感がして、噛んでいるとヒハツのいい香りが
口の中に広がる。
味にクセのようなものはなく、
気軽に口へひょいひょいと運ぶことができる。
大きい葉の中には少し固めのものもあったが、
小さめの若い葉とかは何も気にならずに食べられた。
やはり葉物野菜に言えることと同じで、
食べるなら若葉が柔らかくてオススメかもしれない。
うむ、居酒屋出てきても良さそうな風味の仕上がりに私は満足だった。
まとめ
ヒハツの葉なんて、もしかしたら一生食べることがなかったかもしれない食材だ。運よく知ることができたこと、手に入れられたことに感謝である。
もっと気軽に食べられたらなぁと思うのだが、
そうもいかないのが悩ましい。
スーパーとかで大葉みたいな感じで売られていないのを見るに、
収穫に時間がかかるのか、はたまた多くを生産するには
そこまでの需要がないのか。
これからもヒハツは粉の香辛料のイメージであり続けることだろう。
私はヒハツが好きだ。あれば何にでもかけて、全部の料理を沖縄風味に
してしまいたくなる。
粉は確かに使い勝手がいい。
だが葉の存在を知ってしまったからには、時折でいいから
葉をまた口にしたいものである。
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