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高層ビルの窓から男子トイレを覗く
昔、ビルの窓ふきをしていた頃。
ロープにブランコという道具を付けて屋上からスルスルと降りながら窓をきれいにしていく。
私がするりと降りた時、その階は男子トイレの窓だった。
中には若いビジネスマンがひとり、窓の方を向いて用 (小の方です) を足しているところで、私と窓越しに向かい合わせになった。
もちろん、こっちから見えているのは顔だけで首から下は見えていないのだけど、何をしてるか想像できるだけに、顔だけが見えてるって事に笑えてしまう。
どうしてああいうビルのトイレは窓に向いているんだろう。
せっかく高いビルだから景色を楽しみながら用が足せるような配慮なのかな。
まさか窓の外から覗かれるとは想定していないのだと思う。
だけど私は覗いてしまった。
ばっちりと目が合い、向こうも照れ笑い。
私は目のやり場に困りながらも、窓を拭く。
だって、終わるの待ってるのも変でしょ。
かといって、その階をとりあえず飛ばして降りて行くわけにはいかない。
1本を何分で降りるかというのは死活問題だし、一度降りてしまったら上ることは出来ない。
私がその窓を拭き終わるのが先だったか、
その人の用が終わるのが先だったか、今となっては忘れてしまった。
でも、するりと降りて、ぱっと目があった時の一瞬の気まずさ、そこからお互い笑いの我慢。
もう! 今、思い出してもふき出しそう。
その人も、笑い話にしてくれてたらいいな。
いつか偶然出会って、あの時はおもしろかったですね~って笑いあえたら楽しいだろうな。
⁕画像は私の写真ではなく、フリー素材から。