映画 キャラクター vol.2
久しぶりに映画鑑賞をしていました。
こういう一人の時間でさえも、小説や物語の中の人に入り浸って、あれこれ考えるのはおもしろい。
今回は、サスペンス映画を選んでみました。
最近は、そういった作品を好んでみる傾向にある。そして、殺人犯に妙に納得してしまうのも、人間みなもがもってる心理の一つなのかもしれない。
自分が何者かになりたかった殺人鬼
本作は、セカオワの深瀬が俳優デビュー作だが、
彼の演技に食い入ってみいてた。
本物の殺人鬼は、社会の中に音を立てずに、一般人と同化して過ごしているのだろう。元総理を射殺した事件があったのも記憶に新しい。
両角は、孤児として生まれ、名もなき青年のまま育った。
4人家族を幸せの象徴する集落で育ったが、彼はその恩恵を受けることがなかった。
そして、売買されていた戸籍謄本を買って、自分の名前を手に入れたが、その人生はずっと「空虚」のままだったのだろう。
そんな中、皮肉にも殺人をしたことのない作家の作品の殺人現場を模倣するという殺人鬼になり、常軌を逸脱している設定だが、その漫画のキャラクターになりきって、自分の器を守っていたのだろう。
異常なまでの分析と執念
両角の(自宅)は、狂っていた。
おびただしい数の写真と、山城の作品を切り取った断片。
やるなら徹底する。言い逃れができないまでに。
彼のその執念にある、研究と追究の成果があの部屋に象徴されていた。
「殺人って大変なんですよ。
そのあと2日寝込まないといけないのだから。
いいよね、先生は紙の上で殺しているだけだから。」
彼が言った言葉で印象に残っているものだ。
殺人を描く作家は誰も実際に殺人をしたことがない。
それを山城につきつけることで、フィクションをノンフィクションとした両角。
両角も言っていたが、きっと山城も同じ心理をもつ人間だったのだ。
終盤、山城は仰向けに寝た両角の上に座って、短刀を振りかざして殺そうとするのだが、眼が血走っていた。もし拳銃で撃たれていなければ、殺人鬼と化してた。こうやって、業を背負っていくのだろうなと、落胆して鑑賞していました。
山城の弱さが事件を長引かせた
山城は、これ以上自分の書いた小説を世の出し続けると、殺人が繰り返されてしまうと思い、連載を中止すると、出版社に直談判しました。
しかし、うまく口に乗せられて、連載を休載するという選択肢をとったのです。
連載作品は飛ぶように売れて、昔は古いアパート住まいだったのが、高級タワマンに自宅を変え、広々とした仕事部屋を手に入れることができたのだから、そう易々と自分の身を手放すことができない煩悩を観ることができたのも、また面白い。
煩悩。
誰もが持っている欲望と性質が似ているが、
自分と向き合う中で、最も難しい人間性の一つかもしれない。
自分との約束を破る原因の一つにあるのは間違いない。
しかし、それを対立しよう捉えるのではなく、ありのままそれも自分であってんだと認めたうえで、そこに負けずと自分の進みたい道に沿って行動することを忘れないようにしたい。
そう思えば、両角はすでに執着の塊であっても、
煩悩は捨てきったヤツなのかもしれない。
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