チーズケーキ と 初恋の温もり
私はチーズケーキがいちばん好きだ。
これだけは譲れない。
ふわっとしてて口溶けが淡雪のように繊細で身体に染み込む様なものじゃなくて、
ずっしりしててここにいるよと存在感を突きつけてくるような感触のものがいい。
欲を言うと、自分で作るチーズケーキが好きなんだ。
チーズケーキを一口ゆっくりと口に運んだとき、
あの頃の綺麗で美しい記憶が映し出される。
その記憶もまた、ここにいるよと存在感を突きつけてくるのだ。
小学1年生のとき、初めての感情が芽生えた。
胸の奥がぎゅっと締め付けられる気持ち、、、
ここじゃないどこかにいるふわっとした感覚、、、
俗に言う初恋ってやつだ。
あなたと毎日一緒に帰れるだけで嬉しかった。
席替えで隣になれた時はもっと嬉しかった。
スキップして帰った。
好きって言葉を口にしたことは無かったけれど、きっと君も好きでいてくれた。
給食のいちばんの楽しみと言えば、クリスマスの給食。
いつもより豪華で特別な給食。
なんといってもケーキが選べる。
ラインナップはショートケーキとチョレートケーキとチーズケーキの3種類。
事前に希望をとって、その日が来るのを待つ。
もちろん私は絶対にチーズケーキに決まってる。
その日は一瞬でやって来て、私の好きな人もチーズケーキを頬張ってた。
偶然だと思ったけど、嬉しかった。
同じものが食べれる、、、
幸せだった。
ケーキを幸せそうに頬張ってる君の姿を
時を止めて切り取っていたかった、、、
だけどそれは偶然じゃなくて、必然だったんだ。
数日経って教えられた。
「○○、本当はチョコレートケーキが良かったって言ってたんだけど君がチーズケーキにしたって知って変えたんだよ」って。
それを知った時、言葉にできない感情になった。
あなたのことが特別に感じられたんだ。
「一緒にしてくれてありがとう」
そんな理由で今も縋っていたいんじゃない、、、
美しく純粋な記憶を永遠にするために
埃が被らないように綺麗にしてるんだ。
あなたの記憶にも永遠に残ってて欲しい。
これからもずっとあなたの温もりを抱きしめているだろう。
あなたの幸せをそっと祈り続けるだろう。
もう一度あの頃のあなたに会って話がしたい。
もし叶うなら、私の作ったチーズケーキを食べさせてあげたい。
チーズケーキと私の記憶は誰にも譲れないのだ。
そして私はこの恋に勝るものを知らない