ほんの紹介『対話型OJT』
リモートワークだからこそ、オフィスで直接指示を出すことはできない。メンバー一人一人の自律した動きが必要になります。自律した人材を育てるポイントとして、手伝えばできることを少しづつ増やしていくというアプローチが紹介されています。
なぜ自律型人材か?
①VUCA
②非定型 分析・対話型業務
③リモートワーク
自律型人材の行動
①やることを決める
②決めたことをやる
③チームとして動く
育成目標を設定する
①まず、部下・後輩自身がどうなりたいか、どういう方向に進みたいのかを聞く
②個人の思いを聞いたうえで、上司・先輩であるあなたの考えと、会社の期待を伝える
③ ①②についてすり合わせていく
育成目標は、指導者側が一方的に示すものではありません。部下・後輩とともに考えるのが対話型OJT
ASK
態度attitude:身につけて欲しい態度・姿勢
技術skill:できるようになって欲しいスキル
知識knowledge:知っておいて欲しい知識
自己成長力
学び上手とは学びのリソース(資源)から何かを得て、自分を変えていける人。学び上手は、本を読み、周囲の人々の意見に耳を傾け、自分の経験から学び、どんどん自分を成長させていきます。成長するということは、今までの自分とは違うということですから、自分を変化させていくということ。自分で自分を変えられる力は、変化の激しいVUCAの時代に必須の能力です。常に何が起きているかを把握し、新しいことを必要に応じて、学習し続けることが重要。ダイナミックケイパビリティ
学びのリソース
①先人の知恵。文字情報(主に書籍)や講義などを通して、先人の知恵を学ぶことができる
②周囲の人々。他者からのアドバイスによって学ぶことができる
③自分の経験。自分自身が経験することで学ぶことができる
一人で教えない
マネジャーや先輩が、自分一人で、部下・後輩に仕事を教えようとしない。指導者が一人で関わるのではなく、複数の人たちが部下・後輩に関わる状況をつくっていく。
・複数の人から教えてもらえることで、多様な考え方ややり方を学ぶことができるようになる
・より短時間で職場になじむ(適応する)ことができる
3種類の支援
①内省支援。客観的な意見や振り返る機会の提供といった本人が自己を省みる手助け
②業務支援。仕事の相談に乗る、必要な情報を提供するといった仕事の手助け
③精神支援。精神的な安らぎや心の支えといった安心感を与えるような手助け
上司・先輩・同僚による内省支援
同僚が行う業務支援
上司が行う精神支援、内省支援
複数で教えるデメリット
①新人を混乱させる
→育成目標の共有
②新人に過剰な負担がかかる
・新人が先輩から依頼されたら、仕事を断れない
・増えた仕事の優先順位づけができない
→今、誰からどんな仕事を受けているのかという業務状況の把握が必要
新人の適応
①役割の明確化
②自己効力感
③社会的受容
中途採用者の抱える課題
即戦力ラベル
希薄な横のつながり
アンラーニング
経験のデザインをしようとすると、部下・後輩の主体性を奪うリスクがある。どんな経験を積むかを一緒に考えていく
仕事マップ
①自分の仕事および部署の仕事の全体像
②部下・後輩にやってもらいたい仕事
・一人でできること
・トレーナーの助けがあればできること
・周囲の助けがあればできること
適職感覚を高める
することがない、手持ち無沙汰という状態はできるだけ避けたい
①必死で働く経験
②個別相談型職場で必死に働かせてもらえる経験
OCBリストの作成
手持ち無沙汰を防ぐ
誰かがやってくれると助かる
やらないと、ポテンヒットになってしまう(誰も拾わない)仕事
快適空間、挑戦空間、混乱空間
ストレッチ経験を部下・後輩に積んでもらううえで忘れてはならないのは、上司・先輩側からの支援です
①精神支援
②業務支援
③内省支援
経験学習サイクルを回す
経験学習サイクルを、さらに効果的なものにするうえで重要なのが、経験を提供する前の仕事説明。なぜ、そういう経験を積んで欲しいのか?という理由・ねらいを、きちんと説明する
組織社会化段階モデル
①予期
②直面。リアリティショック
③適応
④安定
新人の適応を促すためにも、新人が直面という段階を経験できるように支援する。
手離れのサイン
・新卒社員が提案してくれるようになった
・新卒社員からの質問が、具体的になってきた
・(指導者の自分とではなく)他の人と話していることが増えた
手離れ後は、徐々に、相手に任せて、考えさせるという指導に移行していく
中途社員の場合
アンラーニングに時間がかかると、適応が遅れていく。自分の今のやり方では通用しないという事実に直面し、それがきっかけとなってアンラーニングがはじまる。中途社員の育成を難しくするのは、この直面とアンラーニングが時期が、人それぞれであること。置かれた環境や、その人の特性・状況によってバラツキが出る可能性が高い。素直に認めて早く適応できる人と、そうでない人。ヨコのつながりが薄くならないように配慮。職場メンバーから時折声をかけたり、質問することを促す。前の経験を捨て去るのではなく、塊やこだわりをほぐし、新たな学びを受け入れる余白をつくることが、アンラーニングや学びほぐし。捨て去る必要はないけれど、ほぐしたほうが、新たなことが学べる
自律型人材の最たるものとしてのミニ起業家の場合、一人前とは自分で顧客をつくれるようになること。一人前に育った後、長期的には、頼れるパートナーになって欲しい。人を育てるという行為は、時間も手間暇もかかり大変な仕事です。ただ、その一方で、見返りはとても大きいものです。
育成が上手くいかないケース
・こちら側の働きかけが適切でなかった
・その時の組織の状況が望ましいものではなかった
・相手側にも事情があった など
短期的な目標。適応、なじむ
中期的な目標。手離れ、独り立ち
長期的な目標。一人前、頼れるパートナー
対話型OJT
①新たな発想、アイデアのヒントがある
②対話というプロセスを通して、納得解が得られる
離れていても好業績をあげるチームには信頼がある。相手を信頼するという行為が必要とされるのは、社会的不確実性が大きい時です。
信頼
・相手の能力に対する期待。やると言ったことを、ちゃんと実行する能力を持っている
・相手の意図に対する期待。やると言ったことを、ちゃんとやる気がある
つまり、対話を通して納得解を得たならば、ちゃんとやるだろう(できるだろう)と考え、任せるのが信頼。
オンラインのデメリット
リアルでやってきたことをそのままオンラインではやれない。リアルで行っていることをどのようにオンラインに当てはめていけるか?を考える必要がある
高頻度、短時間、双方向
シェア時間
集中時間
オンラインコミュニケーションの疲労
①リアルでのコミュニケーションよりもこまめに休憩をとる
②見る、見られることへのメリハリをつける
③コミュニケーションのチャネルを減らす
④2割マシのアクション
育成とは現状から目標に向かう手助け
一人でできること
一人ではできないこと
助けがあればできること ZPD発達の最近接領域
スキャンフォルディング
足場かけ
ティーチング的に一から十まで教える必要はないけれど、コーチング的に質問されても、答えは出てこない。でも、考え方やヒントを出してもらえれば、自分で考えて答えを導き出そうとすることはできる
基本的なスキャフォルディングの進め方
①目的の合意。何のためにやるのか
②ゴールイメージの共有。納期、成果物、どういう状態だったらOKなのか
③大まかな流れの確認。いつ頃、何をやる必要があるのか
④実演・説明・実行・評価。やってみせ、こうやるんだよと言って聞かせる。そのうえで、本人にやらせてみて、その良し悪しを伝える。
初期段階は、ある程度、丁寧に教えてあげたうえで、その後は、少しずつ関与を減らし、必要な手助けだけを行うようにしていく
日常ルーチンのスキャホ
①PDCAを回す手助け
・1日の始まりの朝の時間に、オンラインで話をし、その日の活動予定を聞く
・夕方のミーティングで、その日の活動報告を受ける
・週のはじめに今週の活動予定を確認する
・週の終わりに今週の活動報告を受ける
②社内システムの使い方を学ぶ機会をつくる
③OCBリストの作成
一塊の仕事のスキャホ
①事前事後確認。ひとつのタスクが終わった後は、その振り返り
②考え方を教える。経験が浅い新人の場合、自分で考えてと言われても、どう考えていいのか、その方法がわからなかったり、考えるために必要な知識や情報が不足していたりする可能性があります。こう考えればいいんだよと考え方を教えるというスキャホ。
・考える方法がわからない→考え方を教えるスキャホを行う(ひな型・フォーマット、枠組みを提示する)
・考えるために必要な知識や材料が足りない→長期ラーニングスキャホを行う
③マニュアルづくり
目的は、次に同じような仕事が出てきた時に参考にするため。ゴールイメージはその仕事をはじめてする人が見てもわかるようなもの。OCBになるし、空き時間にひとりでできること。また、自分の仕事経験を振り返る内省支援ともなる。
中期プロジェクト
①マイルストーンの設定
目的とゴールの共有。途中過程にマイルストーンを設定。最終ゴールに向けて、いつ頃に、どこまでできていれば良いかを示す
②ちょい手出し
最終ゴールまで、ずっと放っておかない。マイルストーンごとに確認を行い、必要であればちょい手出しをする
③ガードレール設置
それ以上行ったら道から外れて崖下に落ちてしまいますよという目安を教える。あまり細かいことを言わずに、この範囲なら、ある程度自由にやって良い。と伝えると信頼していることが伝わりますし、能力のある部下・後輩であれば、より動きやすくなる。期間・予算・人員など、制約条件を示したうえで、その中であれば、ある程度の自由裁量を与える
長期ラーニング
業界知識など、長期にわたって学んでいくことを手助けするスキャホ
①よんだ?リスト
②課題設定
③専門家紹介
組織ネットワーク
組織内の人的ネットワークを広げる手助けをする
①人脈マップ
②職場インタビュー
③顔出しミーティング
フィードバック
本人の成長を促す
①耳痛フィードバック。はく、すう、はく
まず、本人がどう思っているのかを言ってもらう
そのうえで、こちらからのフィードバックを、SBIに基づき伝える。どんな状況でらどんな言動があって、それがどんな影響をもたらしたのかを伝える。そのうえで、本人がどう思っているのか、今後はどうしていくのかを言ってもらう。相手を叱るというよりも、わたしにはこう見えたと客観的に伝える。それをどのように受け止めて行動を変化させるかは本人次第。受け止めやすいボールの投げ方をするのは指導者側に求められる
②ありがとうの反対は?
教わっている本人は、こちらの労力に気づかず、さも自分の力でできたように錯覚してしまうこともある。ありがとうの反対って、なんだと思います?あたりまえ
新卒社員が仕事で感じた違和感の記録を半年間続けて、それらをまとめて、職場への改善提案レポートとしてまとめる。
メンター
①育成ゴールの作成(半年後、1年後に期待する姿)
・こういうふうになって欲しい、こういうことができるようになって欲しいという大まかな目標
②仕事マップの作成(育成ゴールに至るために、何をやってもらうか)
・イメージがわかなければ、自分が何をやってきたか経験レビューを行う(自分は、どう育ってきたのか)
・手持ち無沙汰の時間用にOCBリストもつくる(職場インタビューで、職場メンバーからのOSBリストを募る)
③人脈マップの作成(誰に関わってもらうか)
・その人たちの強みは何か、どんな点で新人に関わって欲しいか
・特に職場メンバーには職場インタビュー、OCBリストの協力依頼をしておく
入社直後の1週間がポイント
・相互インタビューでお互いのことを知る
・職場メンバーとの交流
・朝夕ミーティングの重要性
2ヶ月目、周囲に受け入れられていないのかもしれないという不安
・変化に気づく
・他者の協力を得る
・オンラインとリアルを併用する
4ヶ月目、会社に貢献できている?
・アンラーニングを支援する
5ヶ月目、案件達成、自己効力感を感じてもらう
・適応=なじむ
・自己効力感をかんじてもらう
6ヶ月目、独り立ちの時
・スキャフォルディング、助けがあれば一人でできる仕事に取り組む
・自律型人材に向けた独り立ち