Vol.5 「ロジカル」は嘘がつける
このnoteは、20年来の友人である多摩大学教授および多摩大学総合研究所所長 松本祐一氏と、シェアド・リーダーシップに関して、普段着の会話をしている内容です。松本氏のプロフィールはこちらを参照ください。
多摩大学総合研究所は、現場の実践者が事業開発していくための様々な支援活動を行なう研究機関です。最上雄太は、同研究所の客員研究員として、シェアド・リーダーシップの考え方を基にした人材開発、事業開発の実践および研究活動を行なっています(2022年4月着任)。多摩大学総合研究所についてはこちらを参照ください。
最上雄太が講師を務めるシェアド・リーダーシップ開発を目的としたオープン・コース「変化を導くリーダーシップ開発」は、現在申し込み受付中です。詳しくは、こちらを参照ください。
第1回目の往復書簡は、私と松本さんの思い出話からスタートします。
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(以下最上)
松本さん、こんにちは。さて、何から書き始めましょうか。
まず最初に、思い出話からスタートさせたいと思います。
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松本さんと出会ったのは、いまから約20年前の2003年です。松本さんは、多摩大学院(MBA)の半期先輩で、同じゼミで一緒に学びました。私が入学して1年経過する頃に独立起業し、その同時期に松本さんは、先代の所長から、多摩大学総合研究所の看板を引き継ぎました。
そこから、松本さんとは、リーダー向けの教育トレーニングを作っては、講師として二人で登壇するということを、本当に何回もやりました。
お互いに、35歳前後の頃です。
ここまでの話は、この前のお披露目会での祝辞で、松本さんがお話ししてくれましたので、以下をご覧ください。
https://youtu.be/RdJJgY58k8s
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「ロジカル」は嘘がつける
(以下松本さん)
最上さん、こんにちは。
昔話から入るとは私たちもおっさんになりました。
おそらく、この写真が初めて二人で研修の仕事をしたときのものですよ。
覚えていますか?「問題の氷山」のデビューの瞬間です。
この写真は2006年のある団体さんの研修の一場面ですね。15年以上前です。
私も必死だったことを覚えています。
3日間かけて、ファシリテーションと問題の構造化の方法を学び、職場の問題の本質を理解して、業務に活かすという内容でした。
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「問題の氷山」という手法は、システム思考のようなもので、当時私自身が定性調査のデータ分析を、Grounded Theory Approach ( GTA)に触発されて我流にやっていたものを研修のために具体的なプロセスにまとめたものでした。
(GTAについてはまたどこかで触れるということになると思いますが、創始者2人の本は、具体的な方法としては非常にわかりづらいものでした。)
当時、研修時の役割分担として、最上さんはファシリテーションやコミュニケーションなどの「マインド」担当、私は問題の構造化や戦略論などの「ロジカル」担当みたいになっていましたよね。
ただ、問題の要因分析をして、その因果関係を構造化していくプロセスで、「ロジカル」だけでは、問題の本質にたどり着けないことがわかっていきます。
このことは、このツールを考えついたときには、実は想定したものではありませんでした。
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きれいにロジックが組まれていても、しっくりこない、何か違和感があるという図が、研修中に目の前でつくりあげられていくなかで、これにどう向き合うか、この違和感をどう伝えるか、何をどうアドバイスすべきか、毎回自分を試されている瞬間が何度も起こるんですよね。
結果的に「問題の氷山」という方法が、ロジックの後ろに隠れている人間や組織のドロドロしたものをあぶりだすことになりました。ロジックという「衣装」があるからこそ、そこにある「裸」が見えやすいようにも思います。
その内側に隠れているものに向き合えるかによって、その構造が本当の意味で「腹落ち」して、解決するという姿勢や行動に結びつくかどうかが決まる。
そんな体験を数々の研修の場で見てきました。
「ロジカル」は嘘がつける。
私自身も、問題の構造化という行為に「マインド」という要素を無視できないことを少しずつ理解していったと思います。
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思い出話から一転、核心に迫る話になってきました。
この次の往復書簡をお楽しみに!
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