自分らしい写真ってなんだろう。
SNSに大量の写真が流れる時代。
こんなにも多くの人、多くの写真が溢れているのに、それぞれに特徴があって、ひとつとして同じ写真は存在しないように思える。
それなのに自分の写真はどうしてこんなにも平凡でありきたりに感じるのだろう。
数年前の僕はすぐにでも「自分らしい写真」を見つけたくて、有名なフォトグラファーを真似してみたり、テーマを決めて写真を撮り集めたりした。
しかしテーマに合わせた写真は限定的なシーンでしか撮ることができず、とても苦労したし、長く続けることは難しかった。
この頃はそうやって必死に模索を続けていたから、写真に対して苦しさを感じていた。
「ただ楽しければいい」という今の僕とは正反対の考え方をしており、ストレスや嫉妬は自分の写真を大きく成長させるために必要なことだと考えていた。
実際に成長を感じることもあったが、決して「自分らしさ」と確信できるようなものではなかった。
それに、もっといろんな写真を撮ってみたくもあった。
自分にとって最適な方法ではなかったのだろう。
結局苦しさに耐えきれず、自分の写真とは何かわからないまま今日まで何万枚もの写真を撮ってきた。
だが、わからないなりに様々な写真を撮り続けたことで、最近少しずつ「自分らしい写真」の輪郭が見えてきた気がする。
大量の写真が平均化され、「街と光」「何気なさ」「50mm」「フィルムライク」など、いくつかの特徴を言葉として掬い上げることができた。
これらはどれも僕の好きなものでもある。
他にもいくつか、そうかもしれないと感じる要素はあるが、いま確信を持てるのはこれくらいだろう。
素敵な写真を撮る人はたくさんいて、そのどれもに憧れるけど、僕にはそれらを再現することはできないし、同じように自分の好きな写真を真に表現できるのは自分しかいないと思ってる。
結局のところ「自分らしい写真」とは「自分の好きな写真」のことだと思う。
僕の場合、大量の写真を撮り続けることで少しずつ好きなものが明らかになり、結果的に「自分らしい写真」というものが形成された。
好きなものを撮って好きに表現をするだけなので当然苦しくないし、ひたすら楽しんで撮っているときほど不思議といい写真が撮れるものだ。
何年か越しに見つけることのできた「自分らしい写真」。時間をかけて解釈して、大切に育てていきたいと思う。
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