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音と言葉と再配分のはなし


2020から、2023までのこと。

遅ればせながら。

2023。
あけまして、おめでとうございます。

新年早々、広島よりツアーの受け入れがあり、熊本・宮崎からも素晴らしいミュージシャンのお力を借りて、奇跡のような夜でした。
"aratana 1/3"、関わってくださった皆様、氣を配っていただいた友人たち、本当にありがとうございました。

そして喜びは重なり、ドラマティックなツアートレーラーが上がってきました。
「フタツノメグリ」、ダイジェスト。
河野達也こと、@t.flow.k の企画・撮影・編集作品。
京都のソウルシンガー、村上リョーケン@ryoken_mura との3人旅。
昨年9月頭の、旅路のおすそ分けです。

【digest】池見優 × 村上リョーケン フタツノメグリ
https://www.youtube.com/watch?v=40PDralLiUA

さて、今年の抱負など。

33歳の決意と変わらず、今年のテーマは。「これでいいのだ。」です。
許し、赦し。緩め、癒す。

そんなイメージで、早速音楽は3か月のお休みをいただいています。

今考えていることは、自分にとって「音楽」っていったい何なのか。

「音楽で稼ぐ」と決めて、2020年7月の「合図」リリースから、30か月ほどそれこそ無我夢中に駆け抜けてきたけれど。
果たして正しく、心地よい方向に進んでいるのか?

”伝える(稼ぐ)”

”祈る(善く在る)”

”極める(突き詰める)”

という3つのバランスが、自分の中で変わってきていて。
原点に立ち返って、本当の意味で"楽しむ"という選択肢を、もう一度そこに入れて。

今少しずつ、日々自分と物事の距離や関係を、見返してみています。


以下、長々とした雑感のような備忘録です。

お暇とご興味がある方は、お付き合いくださいませ。

音について

ふとした瞬間、自分の表現している音楽が全く魅力的ではなく、「好き」で無くなる時がある。

それはきっと、そもそも14歳で音楽を始めてからずっと、技術レベルが自分が想像する「在るべき自分」に達していないというジレンマからである。
思ってみれば僕は、ずっと誰かと自分を比べてきた。
その劣等感だけを原動力に、「足りない自分」を打ち壊すべく、進み続けてきた。

そのうち、いつの間にか僅かながらもそんな僕を、そんな音楽を応援してくれる人々が現れた。
僕は、「絶対にこの人達にだけは、報いたい。」と思った。
何故ならば、僕自身ですら何処か半信半疑で中途半端な表現を、「好きでいてくれる人」がいてくれる。
そんな感動を単純に、とても大切にしたかったからだ。

誤解がないように付け加えると、やはり概して僕は自分の創作物が「好き」だ。こんな当たり前のことを、恥ずかしげもなく書くことでないのは、十分理解しているつもりだ。
それでもやはり、「音」と「詩」。日常的な「言葉」に、「高千穂マアルヤ!」。囲んでくれる暖かい人々。全てが「おれはこの人生で、"池見優"で良かったな。」と思える。
先に書いたジレンマや、「生み出し続ける」と決めた面倒臭さ、所在なさを含めても、やはり今もう一度。

ガチャガチャとした自分の人生を、愛してみたいと。
シンプルにそう考えている。


言葉について

話は少し変わるようで変わらないのだけれど、2022年、僕はレゲエバンドを始めた。
といっても、「池見優with...」という形で、バックバンドとしてメンバーが加わったような形だ。
素晴らしいメンバーに囲まれて、正直僕には勿体ない程の、人間性と音楽性を持った人々だ。
クリスマスのライブも本当に愉快だったし、お客さんの反応も控えめに言っても「上々」だった。

正直、今持てる全てをやり切ったと思ったし、今のベストがそこにあったと思った。

しかしながら後日音源を聴いて、全く「良い」とは、思えなかった。
そこには、自分の今までの惰性と、都合の良いイエスマンだけをバックバンドに従えた、"三流のオジサン"が歌っているだけだった。

今更ながら、まさか高校生の「バンドはじめたてです✨」 みたいな、こんな状況に自分が陥るとは、まさか夢にも思わなかった。

一つだけ大切なことは、バンドメンバーは本当に最高のパフォーマンスだったという事だ。
僕自身の楽曲や歌に対する取り組み方。
そもそもの人間に対する向き合い方。
そして音楽に対する尊敬。

そういったものが、とても欠如しているように感じた。

少なからず言葉足らずにはなるが。
総じて「言葉」の力に頼り切っていた僕は、「音」の現実を直視した。


再分配の話

さて、どうしたものか。

タイミング良く、2023年から僕は、少し音楽活動を休む事にしていた。
webマーケティングという新しい業界に飛び込み、この先「別の何処かで稼ぎながら歌う自分」の姿が、全くイメージ出来なかったからだ。

延々と、考え続けた。

この先、どうあるべきか。
この先、何の為に歌うか。
この先、誰の為に創るか。

出てきた共通したキーワードは、「再分配」=”reallocation”だった。

"いま一度+全て+配置し直す"

そんな言葉に、全てを賭した。

人間とのパワーバランス、自分なりに30ヶ月必死で積み上げて来たもの、表現の在り方、時間・空間・関係。

そういったものを、全て再分配する事にした。
音楽と関わる事で、幸福になるために。

レゲエバンドのメンバーとも、もっと向き合うべきだし、新たな人々と、新たな事を始めるならば、尚更だった。

今、僕の人生に関わる人々に、まだまだ報いたいし、そうする事ができると、不思議に感じられた。

それが僕の、一番の喜びだった。


ということで、心を許した友達と、もう一度、音楽を"0"から始めます。


2023、春。
震えて、待て。

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