詩集1
・スカート 気になる子のスカートを捲ってみた
できるだけ堂々と捲ったけど駄目だった
あいつはよかったのに
・廃れた街 夏の終わりに街を上げての大きな祭りがある
その時にだけみんな元気になる 縋るように
そういう気持ちを子供も知っている
・絵と本物 コウモリを初めて見た
豚みたいな鼻をして思ったよりも危なっかしく飛ぶ
僕の知ってるコウモリじゃないな
・嘘 嘘を言った 君は信じた
本当のことを言った 君は嘘だと言った
本当のことを言ったつもりだった 僕の勘違いだった
怒られるから君と嘘を作り上げた
君を守ろうと嘘を言った
引き返せないから嘘を守った
・痒み 吹き出物がぽっと赤くなっていた
痒みはこびりつき 静かなところでは殆ど僕を支配した
・綺麗な宇宙 あんなに恐ろしいところに 行ってはいけないよ
僕たちが生きてはいけないところ
きっとここよりもずっとずっと大勢の死者がいて
だからあんなにも綺麗でグロテスクな様相をしているんだよ
・字 字が綺麗に書けないのは きっと僕のせいじゃない
矢継ぎ早に飛んでくる 時代の波のせいだ
・彼岸花 あの時出会ったあなたは 私の記憶を捨てないだろうか
二度と出会わない二人は ハミズハナミズ