やくわ
思った事をつらつらと忘れないようにと書いています。
懐かしい話や忘れたくない話や思い出した話を書き留めています。
ちょっとした物語をお送りします。一字一句拘ってるつもりです。
酒に溺れる、という言葉がある。僕は酒に溺れるために飲んでいるものだから、酒に溺れる、という言葉は悪い意味で使うことはほとんどない。どうだろうか、嫌なことがあったり、言葉にならないもやもやを頭で整理しても晴れないケースは沢山あるだろう。犯罪を犯しましたなんてことない限りは、晴れないもやもやの行き場を失っていることが多いのではないだろうか。僕は酒に溺れるということ、即ち酩酊して頭の中を空にして、不安なんか吹き飛ぶくらい体に負担をかけよう、考えても頭に血がそんなに巡らないわけだから
・缶ビール タブを引っ張ると爽快な音を立てる 勢いよく一口目を飲むと喉が鳴る 決まってゲップが漏れる 癖になる一連のお決まりの音 ・重たい 眠れない夜に頭を締め付ける重いもの 砂がいっぱいに入った大きな麻袋が体を包むよう 頭の内と外を締め付ける 雲霞のような砂に手応えはなく 退けられない重さが僕を弄ぶ ・爪楊枝 歯につっかえているものがあるから普
・スカート 気になる子のスカートを捲ってみた できるだけ堂々と捲ったけど駄目だった あいつはよかったのに ・廃れた街 夏の終わりに街を上げての大きな祭りがある その時にだけみんな元気になる 縋るように そういう気持ちを子供も知っている ・絵と本物 コウモリを初めて見た 豚みたいな鼻をして思ったよりも危なっかしく飛ぶ 僕の知ってるコウモリじゃないな ・嘘 嘘を言った 君は信
プシュっと音を立てた500mlの缶ビールは、一口目で三分の一も無くなってしまった。金曜日の午後3時、猛暑日で汗が滲む帰り道で涙まで滲む。「今週もお疲れ様。」と細やかに自分を労う。「本当によく頑張ったなー、生きたぞ今週も。」短くもあり長くもあった一週間がビールに溶けていく。二口目以降は昼に食べすぎたせいもあり、あまり進まなかった。 頑張ったのは仕事じゃなくて、勉強でもなくて、それは何度も自分自身と葛藤し続けたということ。劣等感や焦り、不安はすっかり僕の中で肥大してしまって、僕
雉鳩が鳴いている。一定のリズムで。癖になる鳴き声は忽ち教科書の文字にモザイクをかけた。外を見ると夕焼け空が広がっている。小学6年生になったばかりの私は6時間目まである日をやけに長く感じた。企画委員長、つまり生徒会長の私は委員会が6時間目の後に残っていた。16時10分に6時間目が終わり、3階にある図書室で打ち合わせがあった。打ち合わせといっても政策を打ち出すとか、学校をよくするための種々の改善点を議論するような仰々しいものでは無く、先生が粗方用意した掲示物を壁に貼り付けたり企画
僕ァもう駄目だ。手が震えっちまうもんで、真面に字も書けやしない。其れどころか自分が何を話してるのかさえ自分で分からなくなる始末。然しな、不思議な事に何だか長い間此処にいる気がする。アレ、他の人はどこ行っちまったんだろ。最後に会ったのはいつだっけな。 やや!ご無沙汰じゃないか、〇〇君!!何だいね、何も言わずに出て行っちまうんだから、僕の所為だったら言っておくんな。大声で君を呼び戻したんだけれど、君がプイってするもんだから放っておこうと思ったのサ。まま、其れより今日ときたら
1日の後半に差し掛かると僕はどっと疲れてしまう。1日の後半というのは大体午後3時くらいを指す。僕は目が重くなり、痺れた感じになり、乾いてくる。目の疲れがとってもひどい。文字が目に入ってこないし、目が疲れていると単純にしんどい。どうしたことやら。僕は生まれてから一度も目が悪いと言われたことが無く、メガネやコンタクトレンズの装着には縁が無かった。目の情報量って基本多いので目がダメになると情報が遮断されて、インプットするものが無く、何にも考えられなくなる気がする。何にもっていうのは
気を抜くとすぐこれだ。かつての職場で怠慢王と言われただけはある。タバコ。明日から治験が始まるので、この際タバコやめようってちょっと思った。しかしながら、やめようって思うのはニコチンが充足している時の僕であって、我慢に顔を赤らめている僕ではない。このノートを書く少し前にコンビニに足を運び、マルボロメンソ4mg買ってしまいました。誰か、止めてください。助けてください。まあ、買ってしまったものは仕方がない。今日買ってしまったということは、明日までに全部吸いきれないということだ。明日
後、100段程空中階段を登ったら辿り着く。やっと、やっと。それだけ目指して来たんだから。どれくらい歩いていたろう。20年、生まれてからずっと、不思議と疲れは無い。振り返ると大地や海などはすっかり雲に隠れて、どこから来たのか、どこにいるのかも怪しくなる。 …辿り着いた。そして、君はいた。ずっと探していた人。彼女は笑うでも無く、訝しむ様子も無く、僕を見ていた。やっと会えた。涙が止まらなかった。20年歩いて、僕の靴なんかとっくに塵になって風に消えて行った。上着は暑かったのでどこか
東日本大震災の時、山形にいた僕は中学3年の卒業式前の時期だった。校舎の3階で全校生徒の合唱をしていた。全校生徒と言っても50人弱の小規模校だ。壁に架かっていたクリスマスリースの様なものが落ちたと思ったら、立っていられない程横に揺れた。2、3時間学校に待機になりそれから帰路に着いた。度重なる余震で揺れる感覚が体に染み付いていた。 家に帰ると父以外みんないた気がする。その日は電気や水道が止まり、茶の間にみんなで固まっていた。夜には蝋燭を灯した。蝋燭立ては50cm位の割と長めの物
2本の線が引かれていた。真っ直ぐ平行に、赤と青の線が白い平地にどこまでも伸びていた。果てがあるのかは分からない。僕はその平行線の間に立っていた。赤にも青にも触れずに。 後ろを振り返ると、赤にも青にも触れないゆらゆらとした足跡の曲線が伸びていた。ずっと疑問だったこと。その平行線を越えたらどうなるのか。赤と青の間は10m程で、赤と青同時に越えることは出来なかった。まずは赤の方に向かった。 あと一歩のところで体が180度回転し、回れ右をした。気づいたら青の方に向かっていた。同様
風の強い晴れの日に桜並木を歩いていた。独りで、ゆっくり、音楽が流れていないのにイヤホンは耳に付いている。さっきプレイリストが終了したみたい。黄色いパーカーを着てポケットに手を突っ込んで歩く。晴れているのに風が冷たい。僕には休日も平日も無い。 頭の中にいつもねっとりと纏わり付いているものとずっと喋っていた。不安は彼が連れてくる。僕は純粋で、彼に唆されるとすっかり言いなりになってしまう。物心ついた当初から彼とよく喋っていた気がする。空に飛んでいった風船の行先を案じて泣いていた。
眠れないので文字を書くことにした。僕は星を見るのが好きだ。暗い空を埋め尽くすほど賑やかにしてる、みんな同じに見えるけどみんな違う星。何年も何光年もかけて僕らの目に飛び込んできた光たちに魅了されたのは半年前のことだ。 仕事で新聞配達もしていたため、週3回ほど深夜早朝外に出て、YAMAHAのギアやホンダのカブを走らせていた。栃木配属だったが、茨城の配達に行くことが多かった。車を25分ほど走らせて茨城のお店に向かう。とても眠いのでオーディオを流し車内で大声で歌った。お店に着くと早
大学2年の半ばだった。ゼミを変える決断をした。きっかけはM先生の授業を受けたことだった。授業名は定かではないが、哲学書・思想書を一冊みんなで読んでいき討論する授業だった。半年間書物を深読みしていく作業は初めてだった。M先生が5、6冊本を持って来てぼんっとコの字のテーブルに投げた。「こん中から決めて〜。」朗らかな口調で、視線が定まってない先生は開始時間の5分後に教室に入ってきた。なんやかんやでルソーの『社会契約論』に決まった。絶対王政のダメ出しから始まり、社会が行き過ぎたり止
大学生になってからテレビのない生活を送っていた。テレビを買うお金も無く、最初の一年は友達の部屋に行ってテレビを見せてもらうことが多かった。その一年でテレビっ子からテレビの無い生活にすっかり慣れてしまった。今25なので、そうやって7年以上テレビを持たない生活を送っている。実家には4台のテレビがあった。僕の部屋と母の部屋と兄の部屋と茶の間の4箇所だ。7人家族とまあまあ大きな世帯だったのでチャンネルの争いも起きる。そうすると茶の間に群がっていた集は茶の間に父を残して散らばったりし
僕が半年前まで住んでた横浜市の白楽はとても好きな街だった。老舗や新しくできた商店が1.5kmほど立ち並ぶ街だった。そこに1年半ほど住んでいた。家から持って来た大学の時に買った本などは殆ど読み尽くしてしまい、新しい本を読もうと思った時に古書店を探した。仕事柄日曜日しか休みが無かったため、今日こそは本を買いに行くぞと寄ったお店は家から1km程の行きやすいところにあった。ジャズがずっと流れており、40いくかいかないかと言う見た目のオシャレな店主がいるお店だった。初めてながらとても