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かけらのおわり


メルカリで便器のかけらが売れたと書いた。

そのかけらは陶器メーカー名がプリントされた箇所で、洒落で出していたといえども陶器の欠片としてはなかなかに珍しい品であった。
実際、絵の良い初期伊万里の陶片などは高値で取り引きされているのだ。

さぞかし購入者は変わった物を集めているコレクターの方であろうと思っていた所、実際は息子さんが件の衛生陶器メーカーに就職されて、そのお祝いにと購入してくれた方であった。

おそらく恭しく綿に載せ、化石用の箱などに入れて渡すつもりであろう。
包みを開けた時の息子さんの失笑する姿が目に浮かぶ。
ウイットに富んだ優しいご尊父ではないか。

なんなの、この美しい結末は?


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