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ゴロウニンの大根汁

風邪をひいてしまった。
喉が痛く、発熱してぼんやりして、先日図書館で借りた本を布団の中で読んでいた。

江戸末期の松前藩に捕らえられた帝政ロシア軍人ゴロウニン。

彼の手記には獄中で出された食事の記述がある。獄中飯なので質素なのは当然なのだが、中でも酷かったのが汁物で、大根おろしに熱湯を注いだもの、だったらしい。


それを嫁に話したところ、じゃあ今晩は鍋だから、ついでにゴロウニン汁を食べてみよう。大根は喉にも良いしね!という話しになった。

最初は鍋の残り汁に大根おろしを入れたのだが、これは旨いに決まっている。
では、お湯で。ということですすってみると、大根のシャリシャリ感もあって甘みがあり案外旨い。

しかし見た目がやるせない感じなのだ。
人生を酷く惨めなものとして悲嘆足らしめるに余りある。

ああ大根汁をすすっているゴロウニンの絶望たるやいかばかりか。

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