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「なんでも内製主義」を掲げるみなさんへ、外注との上手な付き合い方の話

株式会社wibという会社を2018年に立ち上げてシード・アーリー向けのハンズオン支援サービスを提供しており、そこで得た気づきをnoteに記録している。(3回目の更新できた!)

以前に書いた記事では、フリーランスとして業務を請け負う人が守るべき「ルール」に触れた。

今回は、逆に依頼主である企業の経営者・リーダーからみた「外注との上手な付き合い方」について書きたい。


「なんでも内製主義」に潜む、誤解と真実

世の中的には未だ「内製が正義!外には出したくない!」という声が多い印象がある。これを私は「なんでも内製主義」と呼んでいる

(余談だが、この『なんでも内製主義』の対局はキーエンスかなと思っている。キーエンスといえば営業力がすごいイメージだが、その裏側では徹底したファブレス体制で低賃金労働者を社内で抱えず、それにより高い士気を保てていると聞いたことがある)

「なんでも内製主義」を掲げるリーダーたちの心の声は、おそらくこういうものだろう。

①外注すると自社にナレッジが溜まらない
②外注は単価が高い
③自分の目の届くところで管理したほうが生産性が上がる

かくいう私も、数年前まではこうした心の声から「なんでも内製主義」を声高々に掲げていた時期があった。

しかし、これにはいくつかの誤解があることに気づいたのだ。

※画像をクリックすると拡大します

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それぞれについて詳しく解説する。


外注すると自社にナレッジが溜まらないという誤解

裏を返すと「内製していると、なんとなく会社にナレッジが溜まっている」と感じてしまうことはないだろうか。

そんな時にリーダーのあなたに自答してほしいのが、以下の3つの質問だ。

①そのナレッジは、経営の根幹に関わる価値のあるナレッジと言えますか?
②担当者が退職した瞬間にナレッジも消えてしまう、いわゆる「ブラックボックス化」されたものになっていませんか?
③他社とくらべて、本当に優れたナレッジですか?

3つのうち2つ以上に即答で「YES!」と言えない場合、あなたがその業務を内製化する意味合いは低いと言える。そこから得ているナレッジ【のようなもの】は、決してあなたのチームにとって重要ではない。

むしろ当該業務に特化しPDCAを回転させ体系化している外注先を活用する方が、業務を速やかに進行でき、さらに後述するメリットや恩恵を受けられる可能性が高い。


直接雇用した方が、単価が下がるという誤解

アウトソーシングの検討過程で出てきた見積もりに対して「意外と高い…」と感じたことはないだろうか。上司と相談し「この価格は出せないから、今回は社内の人員でなんとか吸収しよう」という会話をしたことがある人も多いだろう。

外注先の単価が割高になってしまうことにはもちろん理由がある。

・マネジメントコスト/教育コストがかからないこと
・即日で業務開始できること
・丁寧にレポーティングしてくれること
・間接経費が乗っかってくること
・最終的に(外注先が)利益を出さなければいけないこと  など

しかし、外注の単価が割高になる最大の理由はそこではない。

ズバリ何かというと、「いざという時、契約を減額 or 終了できてしまう」という点だ。

例えばあなたの会社の事業方針が変わり当該業務が必要ではなくなったとき。経営が落ち込み経費削減が求められるとき。

自社で専任メンバーを採用していたら、「方針が変わったので、辞めてください」とはいかない。これは依頼主からすると(目にはみえにくいが)とても大きなメリットであり、外注先からするととても大きなリスクと言える。

私自身外部に仕事を委託することが少なくないが、その際は自社で雇用した場合の2倍くらいの単価であれば、適正な水準と考えて依頼している。(もちろん緊急度や業務内容などにより水準は上下はするが)

目に見えない恩恵が多い中で、目先の金額だけで判断してはいけない。


目の届くところで管理したほうが生産性が高まるという誤解

外部に委託しやすいルーティン業務(テレアポ、カスタマーサポート、データ入力、請求事務etc)について、内製化することによる弊害は大きい。

まず短期的には、単純作業に追われるメンバーによる不平・不満の伝播があげられる。当該業務に直接関わりのない人たちにもその不満が広がり、同調を生み、負の連鎖を加速させる。

冒頭で書いたキーエンスのファブレス化は、財務面のメリットのみならず、こうした連鎖を回避することに有効に働いていると思われる。

さらに中期的な問題として、評価者と担当者のミスマッチを引き起こしやすい点にも触れたい。
短期的なストレスを乗り越えてくれたメンバーがいたとしても、当該業務に対して高い評価を下せるリーダーは少ない。特にコーポレート・事務業務に携わっているメンバーの場合、ビジネスやプロダクトなど経営の根幹に近い業務を担当するメンバーと比べて、価値を可視化しにくい(価値が低いわけではなくても)。

高い評価がなされないことによる不満が蓄積し、業務へのマンネリ化もあいまって組織を離れるというケースは色々な会社で起こっている。

その結果、企業からすると「ずっと新人事務スタッフを教育し続けてる状態」が続くわけだ。

外注をうまく活用することで、これらの弊害の発生を抑えることができる。


アウトソーシングに関する、ドラッカーの金言

ここまでは「なんでも内製主義」に対する誤解と真実という切り口から、内製にこだわらず、外部のリソースを適度に利用することの重要性を解説してきた。

そこで驚くのが、これとほぼ同じことをマネジメントの父・ドラッカーが解いている。

しかし、さらにはるかに根本的あるいは革命的とさえいえるものは、サービス労働の生産性の向上に必要とされる条件である。すなわち多くの場合、サービス労働はアウトソーシングされるようになる。
(中略)
そして、生産性の向上に対するニーズの最も大きな領域が、トップマネジメントへの昇進が事実上不可能となっている領域である。

すごくざっくり意訳すると、

「経営陣への昇進が望める仕事=会社の根幹価値につながる仕事以外は、アウトソースすべきだよ」

ということを言っている。26年前に発刊された原典でこれに言及しているのは本当にすごい。

ドラッカーぱいせん...


良いアウトソース先を見極める、10の質問リスト

私自身は「なんでも内製主義」がもたらすリスクを説きたかったのであり、「外部へ委託することが最高!」というスタンスではない。変な外注先に仕事を依頼して失敗した経験もある。

そこで本エントリの最後は「良いアウトソース先を見極める質問リスト」を載せることにした。

私たちのチームでも、いくつかの外部パートナーに業務を委託している。その際に、法人であれば営業担当者に、個人のフリーランスであれば本人に必ず質問している内容だ。

※クリックすると拡大します

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私たちのチームもクライアントにとって最高の委託先であり続けるために、ここまでに書いた内容を日々実践できるパートナーでありたい。

以上

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毎月1社ずつくらいは新しくご支援先を広げているので、もし興味ある方は気軽にDMください。自社の業務設計にお悩みの方もぜひ。


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