見出し画像

「無知」と「正義感」

先日、都内で車を運転していたときのこと。

信号が青になっても前の車が発進しなかったので、前の車に知らせようと、クラクションを鳴らそうとした。ところが、それまでの人生でクラクションを鳴らしたことがなかった私は、どのくらいの強さで押すべきなのかわからず、恐る恐る触り、“すかしっぺ”のような中途半端な音を出してしまった。

そのあと勇気を出して少ししっかりめに押し、“それなりの音”を出したが、前の車はびくともしなかった。ハザードランプを出し車を降りて、前の車を覗き込むと、運転席で中年男性が眠りこけていた。ノックするとすぐに目を覚ましてくれた。心臓発作等の最悪の事態を想像してしまっていたので、とにかくホッとした。


この経験は、クラクションを鳴らすことについて考えさせられた。街中でのクラクションの音は全く珍しいことではない一方で、自分自身はこの時までついぞ鳴らしたことがなかったことに気づいたのだ。

皆躊躇なく、ちょっとしたことでクラクションを鳴らすのだろうか。きっとそうなのだろう。だから道でしょっちゅうあのビクッとさせられる音を耳にするのだ。


ところで。

昨日の夜10時ごろのこと。

ホテルからサウナに向かうべく、LUUP(電動キックボード)に乗って国分町の方へと向かっていた。片側2車線の車道の車はまばらだった。

嫌な予感がした。後ろを走る車が、2つの車線のちょうど中央あたりを、私を追い抜くことなくノロノロとついてくるのだ。前に路上駐車があったので、私は一度左車線の右側に膨らんだのち、すぐに左側に寄せたが、それでも後続車は私を追い越すことはなかった。

交差点を直進しようとしたところで、その車が急に加速し(目視したわけではないのでモーター音からの推測だが)、左折するべく私の前に出て急停車した。ボーッとしてたらぶつかってしまっただろうが、私は薄々この車の運転が変であることに気づいていたので、すぐに止まり、車をすり抜けることができた。私が車の前を通過した直後、その車は私の背後で大きなクラクションを鳴らした。なんだか変なタイミングだった。

左折時の入射角から、その車が左車線を走っていなかったことは明らかだった。白いBMWのSUVで、運転手は眼鏡をかけた初老の男性だった。助手席には奥さんだと思われる人が乗っていた。

明らかに悪意のある運転だった。「敵意」という方が適切かもしれない。あるいは、何かよくわからないものに対しての「憎悪」だったのだろうか。もしかしたら、ただの「意地悪」だったのかもしれないが…


地方都市でLUUPに乗った際に脈絡のないところでクラクションを鳴らされたことははじめてではない。先日は名古屋で走行中、急にクラクションが鳴らされて驚いた。ミニバンの中のおばさんは、なぜかこちらに怒った表情を向けていた。

こういうことが起こるにつけ、「もしかしたらこの人たちは、電動キックボードや自転車が、本来車道を通行しなければならないことを知らないのではないか…」と思ってしまう。確かに地方の大きな都市では、広い歩道の一部が自転車専用になっていることが多く、車道を走る自転車が東京に比べると極端に少ない。だから、そういう人たちは“正義の剣”の代わりとしてクラクションを用いているのだろう。


「無知」と「正義感」という、ふたつの恐ろしいものを同時に見せつけられたような気持ちになった。


白いBMWのSUVに対しての怒りはない。ただ呆れるばかりだが、結果的に私は無事で、おまけにnoteのネタまで提供してもらったのだから儲け物である、くらいに捉えている。

とはいいつつ、この白いBMWのSUV、きっと私だけにこういったことをやったわけではないと思う。“前科”がありそうだし、これからも“正義の剣”を振り翳し続けることだろう。

仙台駅周辺でLUUPに乗る場合、白いBMWのSUVには、どうかお気をつけて。


いずれにしても、地方都市でのLUUPは、思いがけない“敵”が潜んでいるから、用心するに越したことはなさそうだ。

なんだか、バカみたいな話なんだけどね。


【çanoma公式web】

【çanoma Instagram】
@canoma_parfum

#サノマ
#香水
#フレグランス
#ニッチフレグランス
#canoma
#canoma_parfum
#パリ
#フランス

いいなと思ったら応援しよう!