ひみつの本屋
傷心旅行で熱海にいる。
経緯については、昨日の記事を参考にしていただきたい。
午前中に浜松で仕事があり、その後うなぎを食べてから熱海に移動した。
海でぷかぷか浮いたり泳いだりし（魚も見られたので大変満足）、お寿司を食べた後に、フラフラ散歩をしていた。
少し遅い時間ではあったが、本屋に立ち寄りたい気分になったので、Googleマップにて検索。
すると、不思議な本屋を発見した。
その名も、「ひみつの本屋」。
詳しいことは上記のHPを見ていただきたいのだが、この本屋には鍵がかかっている。オンラインで鍵を借りるためのチケットを購入し、近隣の協力店が預かっている鍵を受け取る。その鍵で中に入ることになる。
6畳くらいの広さだろうか、文庫本、単行本、雑誌、写真集、絵本などが並んでいる。中の装飾も素敵だ。「多種多様な」と言えるほどには網羅的ではないが、強い偏りを感じるわけではない。1人の読書好きが、長年にわたってその趣味趣向を変えながら収集した本たち、というのが全体の印象だ。
3冊までなら借りることができる。翌日中に返却するのであれば、熱海市内どこに持って行ってもいいらしい。もちろん、本屋なので本の購入もできるのだが、無人販売所形式なので、支払いは現金のみで且つお釣りが出ない。その点は注意が必要だ。
棚を眺めてみると、私がかつて通ってきた本が多数あった。きっとこの本屋を作った人とは趣味が合うのだろう。
気になった2冊を購入することにした。朝永振一郎氏の『鏡の中の物理学』と荒川修作氏とマドリン・H・ギンズ氏による『意味のメカニズム』。
どちらもパラパラとめくってみて、なんとなく興味が湧くものだった。旅先での本との出会いは、このくらい“唐突”である方がきっと良い。
こんな感じで、私は傷心旅行をそれなりに楽しんでいる。時折、ふっと寂しくなったり、昔のことを思い出したりもするが、徐々に慣れていくだろう。
失恋から立ち直るプロセスというのは、何かを失いながら、また違う何かを取り戻すことなのだ。当たり前になってしまった、身体にまとわりついている関係性を、少しずつだが削ぎ落としてゆき、その代わりとして本来の孤独を、またゆっくりと纏っていくのだ。
一種の清涼感のようなものなのだ。最初はヒヤッとするが、すぐに慣れる。
ただ、今回はこの清涼感が思いのほか長続きしてしまいそうだ。誰かと一緒にいるとそれを忘れることができるようなので、お時間ある方、夜ご飯にでも誘ってください。愚痴っちゃうかもしれないけど。
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