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香水のクオリティ
香水に関する諸々の謳い文句にいちいちいちゃもんをつけるのはナンセンスであるとこは百も承知であえて書く。
先日、SNS上の広告で、「○○円以内でデパコスクオリティの香水」というのを見かけた。
「コスパがいい」と言いたいのだろう。
さて、この広告主は、何をもって香水のクオリティを定義しているのだろうか?きっと“なんとなく”なのだろうが、あえて突っ込んでみる。
もし仮に、この広告主が香水産業について熟知し、確固たる信念とともに「デパコスクオリティ」と断言しているとしよう。どういった要素が香水のクオリティの高さに繋がるだろうか?
2つの可能性がありうる。
1つは香料のクオリティだろう。ただ、あまり詳しくは説明しないが、クオリティの高い香料をより多く使えるのは、ブランド専属の調香師がいるケースだ。そうでない場合、香料の調達価格が高くなり、結果としてクオリティの高い香料を大量に使える、ということはほぼない。この点において、当該香水の香料のクオリティが高いとは考えにくい。
もう1つは有名調香師を起用している、ということ。これも、著名な調香師だからと言って、クオリティが高いとは限らない。有名ブランドのコンペで勝ち取った案件と、途中まで若手調香師にやらせて最後にチョロチョロっと名の通った調香師がサインしただけのものでは、大きな差があるだろう。
そもそも、広告主は「デパコスクオリティ」と十把一絡げにしているが、デパコスクオリティとは何を指しているのだろうか…謎は深まるばかり。
別に香水のクオリティの定義について云々言うつもりはあまりない。「○○円以内でデパコスクオリティの香水」という謳い文句で、伝えたいことはわからんでもない。
それはそうとして、私が言いたいのは、そろそろ香水に対し「クオリティ」とか「コスパ」みたいなことを全面に押すの、やめません?ということ。
消費者目線に立った際、クオリティが高いと感じられるものを、同クオリティのものより安い値段で手に入れ、「コスパよかった!」と満足感を得たい、という気持ちがあるのはとてもよくわかるし、宣伝する側はそれを逆手にとって先述のような謳い文句をついつい使ってしまうのだろう。
ただ、香水のように、そもそもクオリティを比べることがほぼ不可能なものに関して、間違ったクオリティの概念を無理矢理当てはめ、顧客心理に漬け込んでものを売る、という行為は、長期的には業界全体の衰退を招きかねないと私は危惧している。特に香水に関しては、「香る」ということ以外に明確な機能はない。よって、製品としてのクオリティの定義のしようがないのだ。
以前noteの記事にもしたような気がするが、ここ最近のフランスのニッチフレグランスブランドに関して、自身のプロダクトの“クオリティの高さ”を謳うにあたり、まさに香料のクオリティ(もう少し言うと香料の値段)か有名調香師の名前かのどちらかを“利用”している傾向にあると感じている。私の目からは、この手のブランドは残念ながらあまりうまく言っているようには見えない。もちろん、それらの香水が良いものだとも思えない。
この業界が、より開かれた良いものとなるように、「クオリティ」だの「コスパ」だの、訳のわからない物差しはとっとと捨てて、一人ひとりが一つひとつの香りと向き合えるよう、世界の片隅で祈るばかり。
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